言い訳~blanc noir~
「突然すみません。これ、良かったら召し上がってください。先日のお礼です」


 紙袋を差し出し出され、和樹は小首を傾げた。


「おいなりさん作ったんです。お口に合うかわかりませんけど」


「いいんですか?」


「そんな大層なものじゃありませんから。じゃあ私はこれで」


 沙織が会釈し歩き出した。


「広瀬さん!」


 背中越しに声を掛けると沙織が振り返った。


「あ、あの。クロにまた会わせてもらえませんか? 今度、うちに連れて来てください。お暇なときで結構ですから」


―――俺は何を言っているのだろうか。

 自分の言葉に呆れてしまった。

 しかし沙織はにこりと笑みを浮かべた。


「いつがいいですか?」


「……いつならいいですか?」


 質問に質問を返してしまった。



「じゃあ、今夜。主人がいないのでクロと伺います」
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