言い訳~blanc noir~
「はい?」
「私の事、家政婦で雇ってください」
沙織がバッグの中から白い封筒を取り出し和樹に差し出した。
「……なんですかこれ?」
「履歴書です! 実は今日、駅前のケーキ屋さんに面接に行って来たんです」
「うちの銀行の前にあるところですか?」
「はい。その場で不採用でした。履歴書せっかく書いたのにな」
沙織が小さく笑った。
「理由なく椎名さんのお家にクロとお邪魔するのは気が引けるから。だけど家政婦だったらご飯作りに来ても変じゃないでしょ?ね?」
確かに沙織が言うように、これから先、沙織に会うためには何らかの口実を作らなければならない。今日これっきりの関係で終わらせたくなかった。
きっと明日になればまた沙織に会いたい、きっとそう思うだろう。
「僕の部屋に来るのは迷惑じゃないですか?」
「どうしてですか? こんなにクロの事可愛がってくれるのに。それに私、週の半分以上は一人でご飯食べてるから」
「……ご主人は?」
「愛人がいるんです。その人との間に子供もいるので、週の半分はあっちのお宅で過ごしてるんですよ」
沙織はあっけらかんと笑った。まるで天気の話でもするかのような自然さで。
和樹はどう答えるべきか言葉を探したが見つからなかった。
「私の事、家政婦で雇ってください」
沙織がバッグの中から白い封筒を取り出し和樹に差し出した。
「……なんですかこれ?」
「履歴書です! 実は今日、駅前のケーキ屋さんに面接に行って来たんです」
「うちの銀行の前にあるところですか?」
「はい。その場で不採用でした。履歴書せっかく書いたのにな」
沙織が小さく笑った。
「理由なく椎名さんのお家にクロとお邪魔するのは気が引けるから。だけど家政婦だったらご飯作りに来ても変じゃないでしょ?ね?」
確かに沙織が言うように、これから先、沙織に会うためには何らかの口実を作らなければならない。今日これっきりの関係で終わらせたくなかった。
きっと明日になればまた沙織に会いたい、きっとそう思うだろう。
「僕の部屋に来るのは迷惑じゃないですか?」
「どうしてですか? こんなにクロの事可愛がってくれるのに。それに私、週の半分以上は一人でご飯食べてるから」
「……ご主人は?」
「愛人がいるんです。その人との間に子供もいるので、週の半分はあっちのお宅で過ごしてるんですよ」
沙織はあっけらかんと笑った。まるで天気の話でもするかのような自然さで。
和樹はどう答えるべきか言葉を探したが見つからなかった。