言い訳~blanc noir~
「ご主人様。ごめんなさい」
「どうして謝るの?」
「私、身分が低い下々の者ですから。ご主人様に恥をかかせたんじゃないかって」
沙織がおどけたように笑う。その笑顔がどこか寂しげで、言葉にならない思いが和樹の胸を締め付けた。
行き交う人の目も気にせず沙織を抱き寄せると、沙織から陽だまりのような柔らかな匂いがした。
「どうやって出会ったって聞かれても、私、結婚してたし……不倫だったなんて言えないし。それにご主人様が住む世界では大学を出てる事が当たり前なんですよね」
「沙織」
「ごめんなさい」
胸の中で沙織が肩を揺らす。
どう言葉を掛ければいいのか、どう沙織を慰めればいいのか、わからない。
そんな自分をもどかしく、情けなく思いながら沙織の髪をそっと撫でた。
「沙織、俺は沙織の事が一番大切で、一番大好きだよ」
「わかってます……」
「沙織は?」
「私もご主人様が大好きです。でも申し訳なくて」
「申し訳ないなんて思わないで。俺は立派な人間じゃないよ。沙織の事、どうしても諦められなかったのは俺なんだから」
和樹が沙織の顎を持ち上げ、そっと口付ける。すると、涙を浮かべたままの沙織の顔にふわっと笑みが広がった。
「もう一回してください」
「え?」
「チュウ。もう一回してください」
沙織が和樹の腰に手を回し背伸びする。その唇に顔を近づけると背後で笑い声が聞こえてきた。
沙織と和樹が慌てて振り返ると、堀田と後輩の男が二人で腹を抱えながら爆笑していた。
「椎名さん、なにやってるんですか!!」
沙織も一緒になって大笑いし始めた。
「路チューするようなキャラでしたっけ?」
「ああ。悪いか?」
沙織を強引に引き寄せ唇を重ねた。
「もうお前ら、さっさと帰れ」
和樹が照れ隠しのように吐き捨てると二人が顔を見合わせて笑っている。沙織の手を取り足早に歩き出すと背後から二人の声が聞こえた。
「お熱い夜をー!!」
沙織がその様子を楽しそうに笑っていた。
「どうして謝るの?」
「私、身分が低い下々の者ですから。ご主人様に恥をかかせたんじゃないかって」
沙織がおどけたように笑う。その笑顔がどこか寂しげで、言葉にならない思いが和樹の胸を締め付けた。
行き交う人の目も気にせず沙織を抱き寄せると、沙織から陽だまりのような柔らかな匂いがした。
「どうやって出会ったって聞かれても、私、結婚してたし……不倫だったなんて言えないし。それにご主人様が住む世界では大学を出てる事が当たり前なんですよね」
「沙織」
「ごめんなさい」
胸の中で沙織が肩を揺らす。
どう言葉を掛ければいいのか、どう沙織を慰めればいいのか、わからない。
そんな自分をもどかしく、情けなく思いながら沙織の髪をそっと撫でた。
「沙織、俺は沙織の事が一番大切で、一番大好きだよ」
「わかってます……」
「沙織は?」
「私もご主人様が大好きです。でも申し訳なくて」
「申し訳ないなんて思わないで。俺は立派な人間じゃないよ。沙織の事、どうしても諦められなかったのは俺なんだから」
和樹が沙織の顎を持ち上げ、そっと口付ける。すると、涙を浮かべたままの沙織の顔にふわっと笑みが広がった。
「もう一回してください」
「え?」
「チュウ。もう一回してください」
沙織が和樹の腰に手を回し背伸びする。その唇に顔を近づけると背後で笑い声が聞こえてきた。
沙織と和樹が慌てて振り返ると、堀田と後輩の男が二人で腹を抱えながら爆笑していた。
「椎名さん、なにやってるんですか!!」
沙織も一緒になって大笑いし始めた。
「路チューするようなキャラでしたっけ?」
「ああ。悪いか?」
沙織を強引に引き寄せ唇を重ねた。
「もうお前ら、さっさと帰れ」
和樹が照れ隠しのように吐き捨てると二人が顔を見合わせて笑っている。沙織の手を取り足早に歩き出すと背後から二人の声が聞こえた。
「お熱い夜をー!!」
沙織がその様子を楽しそうに笑っていた。