言い訳~blanc noir~
美樹と出会ったのは彼女が大学を卒業する直前だった。
職場の後輩からどうしても頭数が足りないから合コンに参加してくれと頼み込まれたのだ。
行く気なんかこれっぽっちもなかった。
ダイニングバーで2時間4000円の飲み放題、現役女子大生の綺麗どころが揃っていると後輩が熱く訴えてきたが、そんな場所で馬鹿騒ぎするのは和樹の性に合わない。
家に帰って好きなDVDでも観ていたほうがよほど楽しいし気がらくだ。
何度も断った。
しかしその日一日、後輩からしつこく付き纏われ、やむなく参加する事になった。
その席に美樹がいた。それが二人の出会いだった。
美樹の第一印象は純粋に「綺麗な子だな」というものだ。
皆一様に茶色く染め、巻き髪にした女が横一列に並ぶ中、黒髪を前下がりのボブにカットし、レースやリボンなど一切装飾がないシンプルな黒いワンピースが美樹の白い肌を引き立たせていた。
参加していた男たちはほぼ美樹狙いだった。
あの手この手で美樹の気をひこうと必死になっていた。
しかし美樹が突然その場で立ち上がるとこう言ったのだ。
「私、椎名さんがタイプなの」と。
その場の空気が一瞬にして白けてしまった。
「誰が椎名を誘ったんだよ。椎名を合コンなんか連れて来たら、俺ら単なる引き立て役じゃん」
「す、すみません」後輩がばつの悪そうな表情を浮かべ、ぺこぺこと頭を下げていた。参加していた他の女たちも皆、面白くなさそうな表情を浮かべながら黙々と冷えた料理を口にしていた。
「椎名さん、ここ抜け出しませんか?」
隣に座った美樹がこっそりと和樹に耳打ちしてきた。
職場の後輩からどうしても頭数が足りないから合コンに参加してくれと頼み込まれたのだ。
行く気なんかこれっぽっちもなかった。
ダイニングバーで2時間4000円の飲み放題、現役女子大生の綺麗どころが揃っていると後輩が熱く訴えてきたが、そんな場所で馬鹿騒ぎするのは和樹の性に合わない。
家に帰って好きなDVDでも観ていたほうがよほど楽しいし気がらくだ。
何度も断った。
しかしその日一日、後輩からしつこく付き纏われ、やむなく参加する事になった。
その席に美樹がいた。それが二人の出会いだった。
美樹の第一印象は純粋に「綺麗な子だな」というものだ。
皆一様に茶色く染め、巻き髪にした女が横一列に並ぶ中、黒髪を前下がりのボブにカットし、レースやリボンなど一切装飾がないシンプルな黒いワンピースが美樹の白い肌を引き立たせていた。
参加していた男たちはほぼ美樹狙いだった。
あの手この手で美樹の気をひこうと必死になっていた。
しかし美樹が突然その場で立ち上がるとこう言ったのだ。
「私、椎名さんがタイプなの」と。
その場の空気が一瞬にして白けてしまった。
「誰が椎名を誘ったんだよ。椎名を合コンなんか連れて来たら、俺ら単なる引き立て役じゃん」
「す、すみません」後輩がばつの悪そうな表情を浮かべ、ぺこぺこと頭を下げていた。参加していた他の女たちも皆、面白くなさそうな表情を浮かべながら黙々と冷えた料理を口にしていた。
「椎名さん、ここ抜け出しませんか?」
隣に座った美樹がこっそりと和樹に耳打ちしてきた。