恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
店に入って、お互い好きな物を注文した。財布を出そうとしたら、ここは俺が、と、止められた。
「いいのに、有難う。走ったお陰で、もう、かなりスッキリしたかも」
「え?もうかなりですか?」
「フフ。うん。考えに行き詰まった時とか、散歩でもいいからした方がいいってアレ。何だか解かった気がする」
これとこれもと、クッキーも買っているようだ。
「あー、なるほど。まずは、滞った血流を流せって事ですね。巡りが良くなると頭も冴えて来る。こっちに行きま~す」
レジから、受け取る場所に移動した。
「うん。さっき走ったのってそれに似てると思う」
「それはそれ。取り敢えず、今から愚痴?聞きます。少しくらいの時間は大丈夫ですよね?あ、先に、俺と珈琲を飲む事、連絡しておいた方が良くないですか?」
「誰に?」
「え、誰にって…誤解されないようにです」
「彼に?」
ハハハ。とは言ってみたもののってヤツだけど?
「はい」
他に誰が居ます?って顔だ。誤解をさせる、意味がない。
「…そんな人、居ないから」
「え?」
「もう。…何度も言わせないでください。居ないから。そんな…彼と呼べる人なんて、居ないの」
「え、だって、さっき、喧嘩みたいなって…」
「彼とは言ってない。でしょ?」
「あ。まあ、そう言われたらそうですけど。え…ちょっとそれって、狡いなぁ」
「ぇえ?」
「俺は、初めて会った時から居るんだと思ってたのに」
「…それは、私と同じじゃない?」
「同じ?」
「そう。勝手な思い込み。ニャーと同じよ。ま、あ?私も貴方が言うように、狡いところはあったかも。居るようなニュアンスは敢えて否定しなかったから。でもそれは…言わなくてもいい事でしょ?…寂しい女だって思われたくないし…」
「え?まあ、そうですね。あ、先に、席取っておきますね」
「あ、うん」
注文して、先に受け取ったコップを持って、二人掛けのテーブルに向かって歩いて行った。
寂しい女だって思われたくないって部分、スルー……肯定された…。
「お待たせしました。こちらソイラテになります」
「あ、はい、私です。有難うございます」
ソイラテに今からなるのか、ってね。じゃあ、これは何?まだ原料?…はぁ…相当捻くれてるな、私。なります、なんて、大抵のお店で、もうずっと聞き慣れた言葉使いなのにね。