恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
これから、連絡が偶に来るって事か…。
誘われて食事に行くって、ぎこちない…まるでお見合いのおつき合いの始まりみたい。…お見合いの経験はないけど。
その内、少しずつ話す事にも慣れてきて、人となりも解ってきて、いい人なのかな、なんて思ったりして。…やっぱりそれってお見合い変わらない。…はぁ。
そんな事していいのかな。
自惚れではないけど、好意は持たれている訳だし。その気も無いなら最初から断っておいた方がいいんじゃ…。
食事やドライブなんて繰り返してしまったら、思わせぶりな態度を取っているようなものにならないかな。
う~ん。どうしよう…。その都度考えます、なんて言い方も、強い否定になってないし。気分次第っていうようにも取れる。だから高守さんだって、断ってくれて構わないからって言う言葉の裏には、期待をさせてしまっているのかも、だ。
今更メールのやり取りだけのおつき合い?みたいな、そんな訳にもいかないだろうし。…それでもいいのかな。
ブー。…あ。
【無事帰ってるかな?今日は有り難う。心配しなくても、しつこく連絡したりしないから大丈夫だよ】
…高守さん。流石。…あ、私、私の方から無事着きましたかって、高守さんに対する気配りを忘れていた。座り込んでボーっと脱力してる場合じゃなかった。こんなところが人としてもだけど、恋愛から遠退いている証拠だ。普通なら気にかけて当然の事なのに。
まあ、今は恋愛中ではないけど…出来なかった言い訳に過ぎないか…。はぁ。
【会いたいと思っても、お互い仕事もプライベートもある。思うように時間もないだろうから。無理をしても仕方ないからね】
うん…。まあ、確かに、です。
無理をして会う約束をしてあって、結局キャンセルになるくらいなら…ね。こういう考え方をするのは私達が両想いという訳では無いからだ。自分が、より好きなら多少の無理はする…。会いたいから。
【会えないという事が思いも深くさせる。愛しさも増すものだ】
お…お…ほ…ほ。ほ。
【これは引くくらい強烈過ぎたかな】
いや~、まあ、ただの、思いの例えですよね?
【さっきまで一緒に居て別れたばかりだというのに、もう顔が見たい】
…ゴ。お、とも言えない、変な"音"が口から出てしまった。ふぅ。…そんなに?…本当に?
【なんて思ってる事を、こうして文字にするオジサンはかなり引く?】
言葉の力に圧倒はされてますよ?…そろそろ何か返さないと駄目よね。ん゛ー。
【今日連れて行って貰ったお店は、長いと言っていましたが、女将さんと恋に落ちた事はないのですか?】
私ったら何を聞いているんだろう。話を変えるにしても…二人の関係性になんて特に興味は無いのに。これでは関心を持ったと、気にしてると思わせてしまうような事になる…。
【よくして貰っているのは解っているけど、それは無いよ、今までも、これからもね。安心して?】
あ゛っ。安心させられちゃった…。ふ~ん…。今までは無くても、これからは解らないのに。あちらに好意があるのは解かってるんだ。私が解るくらいだからそこはとうに感じてるよね…。相手の気持ちを否定せず肯定もせずってちょっと狡いのでは?
【素敵な女将さんでしたので】
のぶさんなんて、名前呼びをした…。最初は高守さんだったのに。ある一定の男のお客さんならデレデレになりそうなあしらいだ。
【ああいった商売に向いている人だと思うよ?】
なるほど。やっぱり…よく見てるには見てるんだ。
【とても魅力的ですもんね】
【そうだね】
やっぱり…。魅力がある人だとかは思ってるんだ。
【あの、おやすみなさい。今日は有難うございました】
突然の終了宣言。…変だと感じるだろうけど、長々は…高守さんだって終わるタイミングに困るだろう。気のない私からならプチッと終わらせられる。
…ぁ。…話し足りなかったから長いやり取りを…。かも知れないのに、私ったら…。
それにだ、こんな急に終わらせると、私が女将さんに妬いたと思われたかも。気を良くさせちゃったかもだ…まずかったかな。
【こちらこそ、有難う。おやすみ】
あ、あっさり、簡単に終わった…。