恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
「逢坂さん、大丈夫?」
「はい、ダイジョブです。ここ、ここですよ、私の…おうち」
ご飯の後、一杯だけお酒をと、私から高守さんをバーに誘った。
それ程強くないカクテルを一杯だけ飲んだ。つもりだ。なのに、足元が覚束無いほど酔ってしまっていた。
階段を支えられながら上がった。
「えっと…鍵ですね。はい、鍵…鍵は……」
気持ちはしっかりしているつもりなのに、態度が可笑しい。バッグの中を探って鍵を握った。
探り出した鍵は高守さんに押し付けるように渡していた。開けろって意味だ。
「はい、解りました。いいんですね?開けますよ?」
カチャ。
「はい、開けましたよ、入ってください…気をつけて…」
「こっち、こっちがベッドですから」
「あ、逢坂さん?」
玄関で高守さんの手を取り、廊下に上がると引っ張っていた。何をしているんだろう。酔っ払いの所業?…間違いない。
「部屋に入った事だし、もう大丈夫だ。私は帰るから」
「セクハラ~?」
「ん?」
「私が高守さんの手に触れたら、これってセクハラですか~?」
「そんな事はない。そうは思わないけど…」
「じゃあ大丈夫ですよね?」
「大丈夫だけど大丈夫じゃないよ。これ以上は」
…。
「何もしてないのに?」
グイグイ引いた。
「何かあったら駄目だからだよ。私は男だ」
…。
「私、酔ってないですよ?あ、私は、女です」
酔ってる…。
「…酔ってる人はそういうもんだよ。何かの手違いがあったのだろう。君の飲んだカクテルはアルコールのかなり強いモノだったようだね」
「そうなんだ…。ですよね。だから私、しっかりしてるつもりで態度が可笑しいんですね、フフッ」
「…は、フ…。今頃?店から酔っていただろ?だから君は…余程アルコールに弱い人だと思ったんだが。そこは違うのかな?」
「…合ってます。だから、一杯だけ。それも、弱い物を選んだんです。弱いの知ってますから。迷惑にならない程度に、したんです。なのに…はぁ。酔ってます。私、酔ってますよね」
あー、あー、これじゃあ、なんでバーに誘ったのか。…あ、れ?
「おっ、と」
フラッと倒れ込みそうな身体を受け止められた。
「…暑い…もう…限界です…。申し訳ないのですが、ベッドまで運んでもらえますか?」
何を、この口は、迷いもせず、つらつらと懇願しているのか…。困らせる事ばかりを平気で言ってる。止まらない。
「みたいだね。いいよ、そのくらいは、…お安い御用だ」
…う、わー。身体がフワッと浮いた…。凄~い。高守さん、力持ちだ~。
「こっちです、こっちー」
初めてのお姫様抱っこに興奮して、自分から首に腕までまわした。
「…」
そして……目が覚めた私は高守さんと寝ていた。
これは…一体どうなったのだろう。