恋?…私次第。~好きなのは私なんです~

……ん゛~。ん。………ん?んん?…へ?…え、…え―――――。開けたばかりの目で凝視した。…居る。
何故か一度背を向け、改めて振り向いた。多分、振り向いた時、消えていればいいと…幻であれと、願ったんだ。

「あ、の…おはようございます。朝…ですよね?」

とは言ったものの…。こんな状況で。挨拶もへったくれもない。非常に気まずい状況だ。

「おはよう」

高守さんは起きていた。

「あの、これは…えーっと。…私の…せい?でしょうか。あ、そうですよね、そうです、私がご迷惑を…」

「…あのね。大丈夫。んー、説明しようか」

正面の顔が真っ直ぐ私を見てそう言った。

「…はい。お願いします」

少し落ち着こう、聞けば解る事だ。

「運んでくれと頼まれて寝かせた。覚えてる?」

「はい。…頼みました。…覚えがあります」

それだって、…なんて事を…。

「…ごめんなさい」

「いや、それはいいんだ。うん。覚えているなら良かった。最低でも、私が勝手にここまで入った訳ではないと解ってくれるよね?それで、だ。ベッドに下して帰ろうとしたら腕を掴まれた。寂しいから一緒に寝てと言われた」

「え?」

う、そ…。そんなこと…言ったの?

「…迷ったよ。酔ってる人の言ってる事だからね。意識があるから手を解こうとしても離してくれなくてね。だから一先ず隣に横になった。納得すれば離してくれるだろうし、眠ったのを確認したら帰ろうと思ったんだ。そしたら私がうっかり寝てしまっていたって訳だ。嘘も隠しも無い。これが真実だよ?」

「あの、これは…」

今更ではあるが布団を引き上げ端を身体に巻いた。

「…うん。私は何も。多分寝ている間に自分で脱いだんじゃないのかな」

はぁ…だと思う。よく見たら、こっち側のベッドの下に、着ていた洋服が散乱していたから。

「…ですよね」

はぁ、最悪よ。

「余程、心の中に溜めていたモノでもあったのかな」

「え?」

「ん?寂しいからって…、そこには複雑なモノがあるでしょ?辛い事も寂しさにつながる事もあるし。…ただ抱きしめて欲しいって気持ち、解るなと思って…」

……え?…え?

「あ、の…」

「あ、今の、気になった?」

なるなる。そんなワード。聞き捨てならない。どういうこと?

「…言わなくても良かったんだけど。あのね。…私もいけなかったんだけど、寝言みたいに流す事が出来なかったんだ。名前も呼ばれたし」

「それは…」

「ん。…高守さん、抱きしめてって、言ったんだ…」

……は――?!。どうして、と、言ったところで誰にも解らない。私が言ったらしいから。一体どんな心境でそんな言葉を…。一緒に寝たから?

「だからごめん、抱きしめた…腕の中に囲うように。記憶になくてもこれは立派なセクハラだね」

「あ、いや、それは…私のセクハラかも知れません。話の様子だと強要したみたいなモノですから…。モノでは無く強要です。パワハラもプラスですかね…。始めから全部私のパワハラです」

そこに好きがあるかないかの力関係が作用してしまったんだ。私の頼みだから、強制したようなもの…。高守さんは、きっと…言われて嫌ではなかったと思う。て、事になる、よね?

「でも記憶に無い事は納得出来ないだろ?私が嘘を言って動揺させようと、無かった事まで作っているのかも知れない。本当は最初から全てが無い事かも知れない」

そうか…。でもそんな事、言う必要はないと思う。?。必要?…弱みを作る為にはって、あり?…でも、する?
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