恋?…私次第。~好きなのは私なんです~

気持ちが無いのなら、やっぱり出掛けてご飯だってしてはいけない。
今のままでは虚しい気持ちにさせてしまう。

はぁ。何だかせつない…。
好きな人が居ないから寂しいのか。単純に一人って事が寂しいのか。言われたみたいに、辛い事も寂しさになるのか。…全てがひっくるめて寂しいのかな。だから、複雑なんだって…。その通りなのかな。


「あ」

「あっ」

「また会いましたね」

「そうね…」

「あれ?今日も何か不満でも?」

…もう。

「こんな時ばっかり会っちゃってるって思ってます?」

…はぁ。

「…思ってる」

「ハハハ。思ってるんだ。いいんじゃないですか?不満は葛藤。迷いは成長の為には必要です」

…え。あ、そういう考え方も出来るんだ。

「フ、ポジティブね…」

「俺はネガティブですよ?人にだから言ってるんです」

そうなのか。人ってそんなものかな。励ます為なら私も自分には出来ない事でも言うかな。…うん。そうよ。

「でも、言われてちょっとスッキリした」

「もう?またですか?」

「え?」

「そうやって聞き返す事もですけど。前も、カフェに入る迄に、似たような事言ってましたよ?」

「あ、そうだった。解決が早い?」

根は楽天的なのかな、私。
今まで、結局、いつも一人。無理矢理ポジティブ思考でやり過ごして来たって感じだ。

「フ。だから割と簡単でもあるって事なんですよ。ちょっと誰かに言っちゃえば、解決とまでいかなくても溜まったモノは割と無くなるんです」

なるほどね。理論的ね。

「今日は、どこか出掛けてたって感じではないのかな」

トレーナーにプリーツのロングスカート。白スニーカーに小さいトートバッグ。視線を感じた。

「うん。気分転換に、ブラブラみたいな。そっちは?今日は、急な呼び出しでもなさそうね」

Tシャツにカーディガン…ローファーに裾を捲ったチノパン。この前とは違ってラフだ。

「こっちも、気分転換にブラブラみたいな?」

「フ。フフ。今の、嘘…」

「本当ですよ、本当」

「どうだか。でもどうでもいいか、そんな事」

「はい、どうでもいいです。どうします?せっかくだし、どこか入ります?」

「あ、うん。じゃあ…、ちょっとだけつき合って。あ、でもいいの?」

「よくない人間が誘います?」

「解んないから」

「いや、解るでしょ。都合悪くて誘うって、無いでしょ」

そうか。

「じゃあ…」

「行きましょうか。あ、大丈夫。今日は走らせないから」

「フフ。こっちも大丈夫。免疫が出来てるから簡単には引っ張られても走らないから」

「フ、ハハハ」

「フフフ」

また会うなんて…これが"縁"、ですかね…。
私の背、肩に届くくらいかな。
身長の高い彼と、横断歩道を渡り、並んでカフェまでゆっくり歩いた。
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