恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
「歩いたらまたスッキリしちゃったかも」
入店してケーキの並んだショーケースを覗き込んだ。どれも綺麗で誘惑される。あ、このフランボワーズのムース…美味しそうかも。
「また…、更に似たような事、言ってますよ?」
「え?そう?フフフ。順調?」
「え?仕事の事ですか?」
「うん、簡単には言えないでしょうけど。トラブルとかは減った?すみません、これも、お願いします」
ショーケースのムースを指差した。
珈琲プラス、店員さんもお勧めだというムースも買った。ソイラテにしようとしてうっかり忘れてしまっていた。もう仕方ない。
「今は落ち着いてるって言ったくらいがいいのかなぁ。ここのところは落ち着いてますよ。あ、二階に行きましょうか」
「うん」
ざっと見回すと下は一杯だった。
今日も向かい合って座った。
「ねえ、お腹空いてるならカフェじゃなくても良かったのよ?」
「あぁ、これですか?それ程じゃ無いから。これは俺にとってのスイーツ?」
彼は珈琲とロールサンドを買っていた。私なら、充分、ご飯になるけど?
「休みの日だと余計、朝ご飯ってしないから」
もう、お昼前よ?
「じゃあやっぱりご飯を兼ねてるって事じゃない」
「まあ、素直に言えば、そうですね」
「もう、それ、素直じゃない…」
「ハハ。ちょっと珈琲でもって気分、変えてしまうでしょ?ランチでって、誘ってる訳じゃ無いから」
「そこまで考えたの?…何だか凄い」
「こんな事、別に言いませんけどね?細かいって言われるし」
ランチって言って誘わないのも気遣いって事かな。
「時間だって思った以上に長くなるかも知れないし。それで、不満はいいのですか?聞かなくて」
「不満かぁ。不満ていうか、よく解らなくて、沸々してる。聞いてもらうって言っても何だか…」
「また沸々ですか。納得がいかないって事ですよね?」
「うん。まあ、ね。どうしたらいいのかが解らない。このままでは良くないって思ってしまうと、何もかもしない方がいいと思うの」
「じゃあ、そう思ってるなら、何もかもしなければいいんじゃないです?」
「理屈はそうなんだけど…」
「悩む原因は理屈じゃ解決しない事?感情が絡む事?」
「…うん」