恋?…私次第。~好きなのは私なんです~

会う事があったらって事だ。
ブー、ブー。はい。はいはい…う゛、高守さんだ。

【私はきっと嫌われたままだね】

…あ…というか、気まずいですよね。もしかして、暫く連絡は来ないのかと思っていたのに。早めの対処って事かな。その日のうちにって。流石です。

【嫌ってとは違います】

嫌ってとは違う?返してから言葉が不自然なのかなと思ったけど。

階段を無事上がりきり、携帯の画面を見ながらガチャガチャと鍵を開けた。
薄暗い部屋の明かりを点けた。

【あー良かった。ではまた連絡しても構わないかな】

こんな風に連絡に返しているから、もう、構う構わないの問題でも無くなってると思う。
…よっこいしょ。呟いてソファーに腰を下した。

【大丈夫です】

抱しめられた事…。はっきりと拒否した態度も取らなかったし。どうでもいい訳じゃないのに…。私って…やっぱり寂しいのかな。だからって理由もなく抱しめられていい訳じゃない。高守さんの方には明確な理由はある…。

テレビを点けた。…ニュースの時間だ。丁度、芸能ニュースをしていた。病院の前で花束を渡されてる。これは、みんなするよね…。マスコミ向けってやつ?
ふ~ん、退院したんだ。ていうか、この芸能人が入院してた事も知らなかったな…。へえ、撮影で怪我してたんだ…。

【有り難う】

…あっ、思い出した。私、確か高守さんに聞いたんだ。

【怪我はもう完全に善くなったと、聞いたんですよね?だから、じゃあ、そのお祝いにって事で、お誘いしたんですよね?】

お酒も解禁していいって言った。だから、だ。あ、話をいきなり変えてしまった。

【バーの話?】

そうだ、あまりにも説明が足りない。でも、そう。私が奢りますって言って誘った。そうよ、そうだった。

【そうです。何故バーに誘ったのか、酔ってしまう前の話なのに覚えてなくて。今、思い出したんです。私、奢るって言ったのに、支払いは高守さんがしてくれたって事ですよね】

今日、出掛ける前に見た時、財布の中身が全然減っていなかったもの…。もう…そうだよ…。あー、もう。

【そこはいいよ。お祝いにって、君から誘ってくれた事が嬉しかったから】

あ。でも駄目よ、このままなんて。
そこに、祝う以上の気持ちが私に少しでもあったのか無かったのか…、きっと高守さんの立場なら気になるところだと思うけど。私は…特別な気持ちは無かったと思う。気の利いた事を狙ってしようとしてした訳でも無い。…思いつき?

【それでは本末転倒になってしまいます】

【そんな重大事項みたいに思わなくても大丈夫だから。気持ちの問題だよ。私が払ったからと言って、気にはならない】

その、気持ちだって…曖昧。…代金は払わせるは、酔って迷惑は掛けるはでは…。申し訳ないしかない。

【代金も、その後の事も。何もかも本当にすみません】

【解ったからって、代金は払いますとか、そんな事、言わないでよね】

次、会う事があるか解らないけど、あったら払おうと思っていた。

【きっちりする事は正しい事かも知れないが、そうで無くてもいい場合もあるから】
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