恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
解った事だけでも、色々しでかしていると、気になって仕方ない。

【寂しいからとか、抱しめて欲しいと言った以外に?】

あー、あー、また繰り返し言われたくはないかも…。

【はい】

この動揺も、どんなに緊張が走っても、文字には現れない。会って話していたら解ってしまうところだ。

【無いよ。抱しめたら眠ってしまったから。あ、でもその後で、私がぐっすり寝てしまったから、寝言までは知らないけどね。ほら、服を脱いだ事も、どのタイミングだったのか、私も気がつかなかったくらいだから】

あー、何もかも、鮮明に思い出せないのがなんとも…、聞かされても現実味がない現象だ。

【本当ですか?】

聞いても解らないけど。

【本当だよ。もう、何もないと思う】

寝言で、と言われると、なるほど、どんな事を言っていたとしても解らない訳だ。だから、完全に何もないとは言い切れない訳だ。

【解りました】

はぁ。なんでこんな事に…。

【動揺してる?】

あ。

【してます。しますよ】

一晩、男の人と一緒のベッドで…。考えたら動揺しない方が変よ。何もなかったとしてもよ。軽々しくしていい事では無い。

【そうだと思っても顔を会わせてないから。聞かなきゃ解らないね。今の表情も声のトーンも解らないから】

だから、確かに、メールだから救われているって感じだ。面と向かって話し辛い事だし、会って話していたら雰囲気に飲まれて何に発展しているかも解らない。
動揺は手に取るように解っただろう。はぁ、今だって、伝わっているようだし。

【会って話していなくて良かったと思ってます】

動揺という意味でだ。

【私はやはり話すなら顔を見て話したいな。それが困惑した顔でも見ていたいと思ってしまう。別に変なフェチとかではないよ?Sっ気がある訳じゃ無いから】

【困らせて楽しむみたいな?】

【私は違うよ?】

【はい、解りました】

解ってます、と答えるのとは微妙だけど差がある気がする。私は高守さんという人物をまだよく知らない。今解った事しか解らない。

【また会えるかな】

…。会えると思う。でも、これには、好意が含まれている。だから、…。

【頑ななようですが、その都度考えさせていただきます】

簡単ではない。承諾が当たり前みたいになってしまうと、受け入れてしまう事になりはしないか。
そのことばかりが頭を過ってしまう。

【ちゃんとしてるね。そうしなくちゃいけない、くらいに思ってる?】

え?

【逆に、軽く承諾されないところが、前向きに真面目に考えてくれているんだと、都合よく思ってしまいそうだ】

あ…。これを薮蛇と言わずして…他に言葉があるだろうか…。ぁ、墓穴を掘る、とか?
< 44 / 92 >

この作品をシェア

pagetop