恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
・縁は異なもの
「ごめん。有り難う。でも何故?」
「何故、と言われれば…中途半端だったから気になったんです。下まで送って来たのに、冗談みたいに、帰った後でこけてたなんてシャレにならないと思ったんです。だったら、上がりきって部屋に入るまで見てたら良かったって。そう思ったら気になって仕方なくなって。だから、無事を確認しに来たんです」
「あ。…フフ。有り難う。何だか…優しいのね。見ず知らずの人間に」
よく部屋が解ったモノだ。…あー、下のメールボックスの名前。え?名前は知らないはず…。本当は見てないふりで、部屋に入るところまで見てたとか。じゃあ、ますます何故?
「見ず知らずって程度でもないでしょ?結構、関わってますよ?」
「え?あ、そ、そうね。変な言い方になっちゃった。あ、上がる?折角だから珈琲でも飲んでく?あ、私達は珈琲ばっかりになっちゃうか。フフ。じゃあ、紅茶とかどう?」
「…はぁ。それはいいんですけど。お邪魔はしません。確認できたから。メール?電話中?だったんでしょ?」
手元に視線が落ちた。私は携帯を手にしたままだった。
「あーこれ、もう、終わったのよ」
「それでまた考えてたんだ」
「あ、うん。まあ、そうね」
「このパターンは違うと思うんで、帰ります」
「え?」
「悩んでるところに道でバッタリ会ったのとは違います。俺の目の前に居る人はいつも悩んでいる。そこへ来たら話は自然に聞いてしまいそうだ。聞く必要のない話まで聞くつもりはないので」
「聞いて」
「え?」
「折角来たんだから、聞いてよ」
「何言って…」
「丁度考えてるところに来たんだから聞いて。理屈は同じでしょ?」
何を無理強いしてるんだか。どこか…年下だと思って、言ってる気がする。
「…嫌ですよ」
「乗り掛かった舟でしょ?」
ん?どこかで言った気がする。
「そんな話ばっかり…押しつけないでくださいよ」
「あー本当は毎回迷惑だったんだ…。聞きますよって言ってくれたのは、いい人のふり?貴方ってそんな人だったんだ…」
「…駄目ですよ、わざとそんな言い方をしても。
解りましたって、ここで部屋にお邪魔したら、関係性は変わってしまうから」