恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
「嫉妬、じゃないかな」
「はい、そうだと思いました」
「違う」
「え?違わないと思いますよ?奥様は私なんかに…」
「違うよ。そう思ったそれは、君の嫉妬だよ」
「え?」
私の、嫉妬?…私が…嫉妬?…あ。
はぁ…嬉しいなぁ、と呟いて、更に掻き寄せるように抱しめられた。あ、…。
「聡子はもう、再婚してるんだよ?」
「え?」
「うん。同じ事務所の弁護士とね。…離婚して直ぐの事だ。信じてくれる?だから、息子も離れて、男寡のままの私に好きな人ができた事は、凄く喜んでいた。元夫婦の好で、ね。後、聡子の罪悪感も、少し無くなったんじゃないのかな。
君の言う雰囲気がいいというのは、お互いに学生の頃からのつき合いだったから、遠慮が無い。別れてもそんな感じがあるからだろうと思う。私に対して何の感情も無いよ?私もね」
「勘違い?ですか?」
「そうだね。得意の勘違い?」
「あ、…意地悪ですね」
「フ、そうだね。この…困った顔が好きなのかも知れない…」
…。あ。…Sじゃないって言ったのに。…私が自分から困ったのか。
「もっとよく顔を見せて…」
顔を上向かされた。
「…セクハラしたいんだけど。許してくれる?…」
え?言い終わらない内に唇が触れた。下唇に触れ、合わされた。こんな…許してって、言われたからって、いいのだろうか。でも…突き放せない。
「ん…。全てがまだなんだよね。嫌いじゃないからでも、好きにはなってもらってはない。今だって、私の気持ちにはついてきてないだろ?どう?改めて聞くのももどかしいけど」
「…嫌いとは思わないです。好きじゃないとも思いません。…それ…」
「ん。それでいいと思うんだけどな。
逢坂さんが一目ぼれで恋に落ちた訳じゃないから。いきなりマックスの気持ちにはならないでしょ?ジワジワ好きになってくれるなら、それでいいと思うんだ。勿論、嫌いなら嫌いで。
それとも、自分から恋に落ちないと駄目な人なのかな。燃え上るような激情は、割と冷め易いモノだよ?
取り敢えず、私にしておきなさい。好きな人が居ないなら。どう?そんな感じで私は構わないから。
一つ、特典があるよ?寂しい時、辛い時、複雑な心境になった時、いつでも抱しめてあげられるよ?
…寂しいから一緒に居て、と言ったのは本当だからね?」