恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
「あー、こんなに話し込むつもりはなかったんだ。
ドアを開けてくれたら、有無を言わさず抱しめてキスをして。ここまでは何とか…漕ぎ着けた。結果から言うとね?
その後はベッドに運ぶつもりだった」
「え、高守さん…」
…え゛?
「もうできないけどね。私は言ってあるよ?攻めるからって。どんな話の経過だって、開けた君がいけないんだよ?
注意一秒、怪我一生っていうでしょ?…まあ、私のする行為が怪我扱いにされるのも困るけど…」
「高守さん…」
「何?泊まってもいいの?」
「…高守さん」
「フ、冗談だよ。困らないで?それともまたキスされたい?…沢山名前を呼んでくれて有り難う」
…。
「あれ?今のとこでもう一回、高守さん、て、困った声で駄目押しがあるかと思ったのに」
「もう…、高守さん…ん」
「…もっと欲しくなって当たり前だろ?…こんなに困って、可愛いのに…」
…あ。
「…泊まらない代わりにいただかないと。困らせてもいいと、もう、思ってるよ?いいね?」
キスされた。抱きしめられている。今、返事はいるの?…はぁ…繰り返される行為にドキドキしてるのは確か。
コクンと頷いてみせた。
「あー、しまった。泊まらないなんて、早まって言わなきゃ良かったな…」
「…え?」
「ん?今のは心の声だから気にしないで?こんなにドキドキしてるのに…一気に進める訳にはいかない…」
「あ、の」
「私と、取り敢えずでいい、おつき合いを始めてくれる?」
「は、い」
「…フ。動揺してる勢いで言わせちゃったかな…。そう答えるしかないもんね?この状況では」
「そんな…。でも、半分くらいは狡いと思ってますよ?」
「半分はいいって事だ」
「それは…ただの理屈です。言ったのだって、言葉のあやみたいな…」
「それでもいい…いいんだ。好きな人間に取って、少しでもリアクションがある事は嬉しいんだよ。何も無いのは、解らない。正直しんどい。顔で言うなら、無表情と同じだからね。…困った顔でも嬉しいって気持ち、解ってもらえたかな?
ふぅ、そろそろ帰った方がいいね」
…。
「ここで珈琲でも、って言葉を期待したのは欲だったかな?じゃあ、おやすみ…」
「…あ、おやすみなさい」
…はぁ、私、取り敢えずのおつき合いをする事になったんだ。