恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
「あ」
「あっ」
「こんにちは!」
「…よう」
「ようって…」
何だか違う。
「そっちこそ、今日は悩み無さそうじゃないですか」
そっち?
「あ、うん。だから、珈琲は誘わなくてもいいわよ?」
「何ですか…それ」
「え、だって、悩みがなければ、話は聞かないでしょ?」
「…どこに行ってたんですか?」
「え?教えない」
変だから、言わない。
「…はっ。別に…いいし」
「もう…ペットショップよ」
「飼うの?」
「ううん、まさか。うち、アパートだって知ってるでしょ?」
「…まあ」
「何となく、見に行ってただけよ」
「とんだ冷やかしだ。動物園でもないのに。無料観賞?」
「ちょっと…。何、今日。機嫌が悪いの?」
「全然、普通です」
そうは見えないけど?
「はぁ、それで普通?ねえ…何かあったの?」
「だから、別に…何もありませんよ。普通です」
「気に入らないの?」
「…何がですか…」
「私が普通だから。沸々してないから」
「それは…」
「私だって、貴方に会う度に、いつもそんなタイミングじゃないから。何にもない時だってあるんだからね?」
「そうでしょうね」
「あ、ほら…何か棘があるわよね。ツンツンしてる!」
「わっ。何…」
顔を近づけて覗き込んでみた。
「珈琲飲む?奢るわよ?話、こっちが聞いてあげる」
「…そんなんじゃないから…いいです」
「え?」
「貴女が悩んでないなら飲みません。じゃあ、また」
「あ、ちょっと」
…行っちゃった。やっぱり変じゃない…。何?私はいつも悩んでなきゃいけないの?やっぱり、普通の話ならしないって事じゃない…。はぁ、もう。
ブー、ブー。…高守さんだ。