恋?…私次第。~好きなのは私なんです~

【どこか、出かけてる?】

【はい、ちょっとブラブラと】

【直ぐ戻る?】

戻る?

【うちに来てます?】

【うん。アポなしで来てみたら居なかった】

【今帰ってますから、待ってもらっていいなら居てください】

【うん。待ってるよ】

【では後で】

【うん】

アポなしだなんて…。高守さんに出会うまでの私なら、アポなしだろうと何だろうと部屋に居た。それ程、休みの日に出掛けなかった。それが…。
高守さんとおつき合いという形を取ってから、外に出掛けたいと思う気持ちが増えた。平常心が上向いてる証拠だ。つまり、日々、テンションが程よく良くなってるって事。これは人としていい事だ。


「高守さ、ん…、はぁ、ごめんなさい」

「お帰り。走ったの?」

「はぁ…。少し…だけ」

「有り難う。何だか嬉しいよ。疲れたね、上がろうか」

「あ、はい」

階段の下で待っていた高守さんに手を繋がれて一緒に上った。

「用は良かったの?止めて帰って来てくれたんじゃないの?」

「ううん。本当に帰ってるところだったから」

鍵を開けてドアを開けた。

「お待たせしてしまって。入ってください」

「うん。お邪魔するよ」

「はい、どうぞ」


珈琲を入れてテーブルに置いた。隣に座った。

「ブラブラ、散歩みたいに出掛けていただけなんです。用はありません」

「そう」

「最近、健康的なんです。自慢気に言う程でもないですけど。引きこもりって訳ではないですけど、あまり外に出てなかったですから」

「梨央…。用も無くブラブラなんて聞くと心配してしまう。あまりボーッとしないように気をつけるんだよ?」

「ぇえ?もう…大丈夫ですよ。子供じゃないんですから」

「うん。心配し過ぎだって解ってるよ。…梨央…」
< 58 / 92 >

この作品をシェア

pagetop