恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
【どこか、出かけてる?】
【はい、ちょっとブラブラと】
【直ぐ戻る?】
戻る?
【うちに来てます?】
【うん。アポなしで来てみたら居なかった】
【今帰ってますから、待ってもらっていいなら居てください】
【うん。待ってるよ】
【では後で】
【うん】
アポなしだなんて…。高守さんに出会うまでの私なら、アポなしだろうと何だろうと部屋に居た。それ程、休みの日に出掛けなかった。それが…。
高守さんとおつき合いという形を取ってから、外に出掛けたいと思う気持ちが増えた。平常心が上向いてる証拠だ。つまり、日々、テンションが程よく良くなってるって事。これは人としていい事だ。
「高守さ、ん…、はぁ、ごめんなさい」
「お帰り。走ったの?」
「はぁ…。少し…だけ」
「有り難う。何だか嬉しいよ。疲れたね、上がろうか」
「あ、はい」
階段の下で待っていた高守さんに手を繋がれて一緒に上った。
「用は良かったの?止めて帰って来てくれたんじゃないの?」
「ううん。本当に帰ってるところだったから」
鍵を開けてドアを開けた。
「お待たせしてしまって。入ってください」
「うん。お邪魔するよ」
「はい、どうぞ」
珈琲を入れてテーブルに置いた。隣に座った。
「ブラブラ、散歩みたいに出掛けていただけなんです。用はありません」
「そう」
「最近、健康的なんです。自慢気に言う程でもないですけど。引きこもりって訳ではないですけど、あまり外に出てなかったですから」
「梨央…。用も無くブラブラなんて聞くと心配してしまう。あまりボーッとしないように気をつけるんだよ?」
「ぇえ?もう…大丈夫ですよ。子供じゃないんですから」
「うん。心配し過ぎだって解ってるよ。…梨央…」