恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
・味なもの
「試されてるのかな…」
「え?」
「誠実なオヤジかどうか。嘘、ついちゃったし。まだよく知らない、…どこの馬の骨かも解らないオヤジに、好意があると、知らず知らずにグイグイ押されて。…つき合うはめになって。
今は部屋に居るのも当たり前な顔をして。大人しくしてたら、抱きしめるはキスはするはで、どんだけ好きにするつもり?
…今度は何だか、そろそろエッチしてもいいんじゃないかって、迫ってくるつもり?」
「た、か、守、さん?」
「身も心も、そんな簡単にはいかないのよ。もう少し気持ちが…間違いなく固まるまで待ってなさい」
「高守さん…」
「ハハハ。てね…。こんな感じ?からかったんじゃないよ?…まあ、結果はいい方にいくように脚色した話だけど。
…いいんだよ?私がかなり年上だからって遠慮は要らない。いい人になる必要もない。言いたいように言ってくれたらいいんだから。
男も女も、年齢も。全部ひっくるめて対等なんだから。…嫌なら嫌。それでいいんだからね?」
…大人の余裕?
「とは言え、んー、ここまで嫌われてないならって思うと。…口で言う程余裕はないけどね?」
「…有り難うございます」
「…フ。言った通りだった?」
「んー、そうじゃない事もあります。でも、同時に高守さんの気持ちも解ったかなって」
聞かなくても高守さんの気持ちは解ってる…。
「呼ぶ時、高守さんでなくてもいいよ?信行さんでも、信さんでも信ちゃんでも。何なら信ちんでも?ハハハ、流石にそれはないか」
…。
「信ちんって、…可愛いかも…です」
「あ゙」
「…あっ。いや、でも、いやいや、でもですよね」
流石に抵抗があるでしょうから。単純に、高守さんがどう思うかまでは考えてなかった。ノブチンという響きが可愛かったんだ。私だって、若い子じゃない。信ちん、なんて呼んだら、誰が言ってんだ?って不快な顔か、呆れた顔で見られてしまいそうだ。
「…いいよ?」
「え゛?」
こっちが驚く番だ。
「部屋の中とか、二人だけの時なら、ありだよ?」
いいんだ。いいの?
「では、部屋以外では、メジャーに、信行さんで」
「フ。メジャーに、ね。じゃあ、信ちんはマイナーだね」
「そんな…。私の中では、裏メジャーです。ノブチン…。可愛いですから」
「フ。どうも、信ちんで~す」
…。
「うわっ、寒。…駄目だな…」
「え?」
「自分では呼ぶものではないってよく解ったよ。やっぱり…かなり痛いな…」