恋?…私次第。~好きなのは私なんです~

こんな事で…。単純だけど、大事なコンタクトの一つなんだ。

「フフ。少し…近づけた気がします。距離が…」

「縮まった?」

「はい。それです」

「それは良かった」

「はい」

「梨央…」

…あ。…。

「…早速調子に乗ってしまった」

顔を捻られ、唇が触れた。こんな…既に物理的には…コンタクトはちょいちょいあるような気がする。

「はぁ…、梨央…ごめん。節操のないオヤジで」

「…いいんです」

聞こえたか聞えないくらいの声で呟いた。距離が近づいたって言ったのは私だから。そんな事言ってしまったら一気に加速してしまっても可笑しくないと思う。…一旦盛り上がったモノを落ち着かせるなんて…。

「梨央、帰るよ」

え?…いきなり…。まだ来てからそんなに時間は経って無いのに、もう?

「今日、これ以上は…自信が無い…」

…あ。

「んー、また連絡するよ。…デート、しよう?デート。あー、断られてしまうかな…」

…。

回されていた右手がひょいと上がった。頭を掻いているようだ。どうしたらいいか、誤魔化しても帰るに帰れず困ってるんだ。

高守さん…。

「…梨央?この顔は、私は、どう判断したらいいんだ…ん?」

いつまでも何も言わないから顔を覗かれた。何も言わないままでは困らせてしまうだけ。それは解ってる。解ってるんだけど…。

「そうだ、次は中華にでも行こうか。やっぱり和食が落ち着くかな…じゃあ、帰るよ」

あ、待って。離れて立ち上がろうとしてるのが解った。

「待って、…もう少し…」

「ん?」

「もう少し…一緒に…居たいです…」

…恥ずかしい。凄く恥ずかしい。いい歳をして…凄くドキドキしてる。これは…楽な気持ちで言った練習とは全然違った。実際口に出すと、言う方にこんなに勇気が要るなんて…。色んなモノで舞い上がってしまいそうだ。とんでもなく冷静ではいられない。だって、言い慣れてないから…。

「梨、央…。いいのか?」

「…はい。…もう少し居て欲しいです」

「梨央…あ、あぁ。居る、居るよ」

梨央と呟かれ、また後ろから抱しめられた。

「…高守さん、私…」

あ、これって、きっと…そう思わせてしまった。

「梨央、今夜は帰らない。いい?」

声が甘い…。

これって…。ですよね…ですよね?!
決心したって、思わせた…。
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