恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
「梨央、気が早いかな…」
「え」
何の事だろう。あ、まさか、奥さんに紹介されるとか…?
私は高守さんの腕の中に居た。
誤解のないように言っておくが、まだ、何も…その…、男女の関係にはなっていない。
「アイツに紹介したいんだ。いいかな。やっぱり、まだ早い?あ、そもそも嫌かな。でも、私は会わせておきたい」
あ、やっぱりそうなんだ。
「会っておいた方がいいのならそうします。嫌とかは思わないです」
「うん。じゃあ向こうにも聞いてみるから。そんなの勝手にすればいいって言うようなら止めるよ」
高守さんの中では、ケジメのようなモノ、きちんとしたい何かがあるのだろう。それは、私には解らない。
それも大事な事ではあるけど、今の私は…。
「…ごめんなさい」
「ん?何が?」
「あ、だって…あんなに沢山…なのに…タイミングが…」
きっと今夜は…初めての夜になると思った。
「ん?ああ。んー、いいブレーキになったよ…」
高守さんは私の頭を押しつけるようにして胸に抱いた。
遡る事、数時間前の事だ…。
帰る事を止めた高守さんに後ろから抱きしめられていた私は、改めて前から抱き直された。ギューッと抱しめられた。息を吐き、腕を回し直しながら強く抱きしめられた。はぁ…色々…苦しくて…どんどんドキドキが早く、強くなった。
背中に腕を回されたままソファーに座らされた。ソファーの背に両腕を付き、囲うように膝立ちした高守さんに熱く見つめられキスをされた。両手が頬に触れ、名前を呼ばれ、今まで経験したキスを足しても敵わないほどのキスを溶けそうなくらい交わした…。熱い息が洩れた。好きだ…堪らなく好きだよ、と、甘く囁かれた。唇はやがて耳に触れ、首に触れた。
ソファーに寝かされた。唇に触れながら、高守さんは上に跨った。やはり、こうなるのだと、…覚悟を決めた。
…ごめん、ここじゃ嫌かな。そうだよね。全く…ちょっと触れると歯止めが効かない。節操が無いよな、本当に。
そんな事をボーッとした頭で聞いていたら抱き起された。え?と思った。
ベッドに行こうか。…あ、ちょっと待ってください、シャワー…したいです。じゃあ梨央が先に。…はい。
恥ずかしくて、ぎこちないやり取りをした。
浴室に行った。何だか、身体にいつもの違和感を感じた。…これって。そして…トイレに行ったんだ。