恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
部屋に上がった。
バッグを置いて椅子に腰を下した。
【ご連絡をして頂き有り難うございました。遅くなって申し訳ない。流石にいきなり夜誘う訳にはいかないでしょうから、ランチなどいかがでしょうか?土日、お仕事がお休みでしたら、どちらか、貴女の時間を頂けませんか?】
は、あ、流石といえば流石だな。健全な誘い方だ。これだと変に警戒心を持たなくて済むものね。…貴女の時間を、なんて。はぁ…言葉のチョイスもイケオジだ。
全く知らない人ではないけど、大人の男性と夜の食事となると…って。考えなかった訳でも無いけど。あはー、自意識過剰よ。初めては、夜、誘わないのがセオリー?じゃない?元々がお礼だって事で、連絡してるんだし。ムードなんて物は初めから必要無いモノ。
土日、どっちだって都合はつく。…でも。
【土曜の方で良いですか?】
何だかちょっと、急な誘いでどっちでも都合がつくと思われたくなかった。…悲しい独り身の抵抗かな。どうでもいいのにつまらない見栄なんか張っちゃったりして。本当つまらない悪あがきだ。
【では、近々の土曜でいいですか?良ければ、11時頃、待ってます】
【あの公園?】
待ち合わせの場所、どこで、が無かった。何となく公園なのかなって気がして迷わず聞いた。
【はい。笑。凄いな。ちょっと以心伝心を装ってみましたが、嬉しいなあ、通じたみたいだ。私が襲われた公園です。いいですか?】
【はい、大丈夫です】
待ち合わせる場所って事ですよね?まさか、あそこで、葉桜を見ながら行楽弁当でランチでもって…それはないだろう。そのつもりだったら申し訳ないけど。
なんだかなぁ…。こっちだって、直ぐの土曜だって勝手に決めつけてもいたところもあったけど、早々に週末に会う事になってしまった。
【あまり期待しないでくださいね。若い女性の好みはよく解りませんので。沢山の種類のパスタが食べられるお店に行く予定です。その後は…ちょっとお楽しみです】
う、わ。何だろう、この含み。お楽しみって…。今回はデートって訳ではない、誘い慣れているのかな。ランチの後…大丈夫なの?…ううん。お礼だから、楽しみを作ってくれてるのかも。
【楽しみにしています】
何かは解らないけど、こんな感じで大丈夫でしょ。
【ハードルはあまり上げないでください。では土曜に】
【はい、解りました】
ふぅ。行くことになってしまった。土曜は晴れだといいな…。あ。……間違いなく私は年下かも知れないが、若い女性というところは…微妙だな。