恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
「寝るって、ふて寝ですか?」
…。
「あ、もう、解り易い人だな」
「…ふて寝じゃない。でも、一応、寝るの」
「よく解らないなぁ。…別に、そこまでしなくても…」
「いいの、解らなくて」
「おお怖…。そんなプリプリして、味なんて解んないでしょ。流石ですね、ここのは濃くて凄い美味しいですよ?紅茶もミルクも」
彼はホットミルクティーを飲んでいた。
「解ってる、味は…味わってるから」
「ケーキセットにするなら、ストレートティーにすれば良かったのに。ま、余計なお世話ですけど?アールグレイ、香りがきっと良かったでしょうに」
「もう…、貴方が私を逆なでして、機嫌を悪くさせてるみたい」
「そうですかね。…俺は楽しいですけど」
「え?そうよ。…もう、帰る。え?」
「早いですね」
そうよ。さっき何か言ったみたいだけどよく聞こえなかった。
呑気にケーキセットなんか注文してミルクティーもお代りを飲んだけど、一刻も早く帰っておきたいの。
「じゃあ、ここで」
「はい、さようなら」
え?
「ん?何です?」
「…別に…。さようなら」
「はい。明るいから送りませんよ?気をつけて」
手を振られた。
…ちょっと…違うじゃない?いつもなら、また、って言うのに。偶々なのかもしれない。またって言うのも、さよならって言うのも、元々意味なんてモノはないのかも。
ただ、今日のさようならが特別に思えた。それも何故だか意味は解らないけど。
…本当は、待ち合わせの時間に遅れるって連絡だったのかも。私はそれまでの時間潰しに使われたのかも…。はぁ。こんな考え方は虚しい…。帰る。急がなきゃ。
ホテルのラウンジを出て急いで部屋に帰った。
…あ。
そんな気はしていた。だから早く帰って着替えて部屋に居たかったのに。何してるんだか…。
「…梨央。どこに居たんだ…」
部屋の前には、きちんとした服装で、ネクタイを少し緩めた高守さんが居た。