恋？…私次第。～好きなのは私なんです～

「似てない…」

「え？……はぁ。息子だって知って、最初の感想がそれですか？…はぁ、何とも…貴女らしいのかな…」

「でも、身長が高いところは似てるのね。あ」

「はい？…今度は何ですか？」

「…お母さんに似てるのかも」

どちらに似ても問題ないＤＮＡなんだろうけど…。いいとこどりなのね…。

「…フ。母さんを知ってるんですか？」

「あ、うん、ちょっとだけ、偶然見掛けたの」

「へえ、よく親だって解りましたね」

「貴方のお父さんと一緒に居るところを見掛けたから」

「…へえ。それはレアでしたね」

…。それでも聞かなきゃ誰だか解らないけど。

「あ、何故？」

「え？」

「変だからって言ったけど、わざわざ来た訳、何故？」

「…はぁ。何となく、一連の流れで解りませんか？まあ、言わなきゃいけない事だから言いますけど。
俺は貴女が親父を世話してくれた人だと知って近づいた訳ではないです。俺達の出会いは本当に偶然の出会いだったんです。どちらかと言えば、貴女の方から俺のエリアに飛び込んで来たって感じなんですよ？
神社の事だって、ぶつかって来たのだって、貴女からでしたよ？…毎回ドキッとさせられて…、言動は天然なんでしょうが…。
それは、まあいいんです。親父とはもう、深い仲なんですか？」

「…え、…ぇえ゛っ？」

「そんなに慌てて。まだなんですね。ですよね？…親父も本当…じっくり待ってるんですね…貴女の気持ちを」

「貴方には私の色々…話してるから解ってるのよね。…好きって、ちゃんと言って無いのも…」

「どうなんです？好きなの？好きになったんですか？」

「…好きだと思う」

「…ふぅ。解らないなぁ、何故伝えないか」

「色々…」

「身辺調査でもしてみたら？人物がよく解らないって事も関係してるでしょ？」

「え？そんな事は」

「よく解らないままだから、好きだけど踏み切れないんじゃないですか？…はぁ、他に、好きだって言って関係のある女性が居たらどうします？今までずっと独り身だったんですよ？大人の男ですよ？何かしらあると思いませんか？
母さんと切れてなかったら？関係が続いていたらどうします？
よく解らない人間を簡単に信じられますか？」

「そんな事はしないわ。聞けば解るから」

「嘘つかれたら？」

「…嘘だとしても。それがその人の言う事なら信じたいと思うから。結果…」

「騙されていたとしても…」

頷いた。出来るなら、よく解らなくても、人は疑うより、信じたい。…そうよ。

「それでいいの。私に人を見抜く力が無かったって事だから。そうなったらなったで…いい勉強だと思えばいいのよ」