恋?…私次第。~好きなのは私なんです~

「…あ」

「あ。ね?」

「え?」

「別に…。会おうとしてた訳じゃない。でも、…やっぱり会った」

「あ、うん…」

「ちょっと、いいですか。この前の続き」

あー、それは…。

「解っていても自分の口から言いたい事って、ありますよね?」

「…うん」

それは解る。…今日、ちょっと言葉が丁寧な気がする。

「じゃあ…ご飯でもしながら。いいですよね?」

構わないけど、食べられるかな…。あ、こんな時は食べられる食べられないが重要じゃない。いつからこんな考え方をするようになったんだろう。もう。メインは話じゃないの…。要はご飯じゃないのよ。

「何がいいです?」

「今日は何でもいい」

…あ。…もう。即答したらこれだ。感じ悪い…。

「今日はって言ったら、次、ありますって期待しますよ?…言葉は気をつけないと。取りようですから。簡単に喜ばせたり裏切ったりしますから」

何でもいいと言った事の方を気にしたのに、そこは大丈夫だったのかな。本当、受け取り方次第だ。

「急な事だし…お寿司なんてどうです?ここから近くにあるし。勿論、回る店ですけど。寿司以外もあるし」

デザート類の事とかだ。

「うん、いいよ?」

「じゃあ、行きましょうか」

手を握られた。ちょっ、と?

「ん?簡単に繋いでる訳じゃないですから。…意味はあるんです」

「よろけた時の為?」

…。

「はぁ、ボケですか?天然ですか?…介護じゃ無いんですから。そりゃ、よろけたら、その時は庇いますけど、違うでしょ?普通」

「…はい」

歩き始めた。

「何が好きですか?ネタ」

「え?あ、私は、んー、カンパチとか、鯵とか」

「中々いいとこいきますね。炙りサーモンとか言わないんだ」

「食べない訳じゃないけど、お刺身にして美味しい魚が好きなのかも」

「鮪は?」

「鮪は赤身が好き」

「俺も?」

「え?」

今、語尾が上がったよね?疑問形?

「俺も好き?…俺は好きです。梨央さんの事」

い、いきなり歩きながら言って来るとは思わなかった。これ、不意打ち過ぎるでしょ。

< 79 / 92 >

この作品をシェア

pagetop