恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
「…あ」
「あ。ね?」
「え?」
「別に…。会おうとしてた訳じゃない。でも、…やっぱり会った」
「あ、うん…」
「ちょっと、いいですか。この前の続き」
あー、それは…。
「解っていても自分の口から言いたい事って、ありますよね?」
「…うん」
それは解る。…今日、ちょっと言葉が丁寧な気がする。
「じゃあ…ご飯でもしながら。いいですよね?」
構わないけど、食べられるかな…。あ、こんな時は食べられる食べられないが重要じゃない。いつからこんな考え方をするようになったんだろう。もう。メインは話じゃないの…。要はご飯じゃないのよ。
「何がいいです?」
「今日は何でもいい」
…あ。…もう。即答したらこれだ。感じ悪い…。
「今日はって言ったら、次、ありますって期待しますよ?…言葉は気をつけないと。取りようですから。簡単に喜ばせたり裏切ったりしますから」
何でもいいと言った事の方を気にしたのに、そこは大丈夫だったのかな。本当、受け取り方次第だ。
「急な事だし…お寿司なんてどうです?ここから近くにあるし。勿論、回る店ですけど。寿司以外もあるし」
デザート類の事とかだ。
「うん、いいよ?」
「じゃあ、行きましょうか」
手を握られた。ちょっ、と?
「ん?簡単に繋いでる訳じゃないですから。…意味はあるんです」
「よろけた時の為?」
…。
「はぁ、ボケですか?天然ですか?…介護じゃ無いんですから。そりゃ、よろけたら、その時は庇いますけど、違うでしょ?普通」
「…はい」
歩き始めた。
「何が好きですか?ネタ」
「え?あ、私は、んー、カンパチとか、鯵とか」
「中々いいとこいきますね。炙りサーモンとか言わないんだ」
「食べない訳じゃないけど、お刺身にして美味しい魚が好きなのかも」
「鮪は?」
「鮪は赤身が好き」
「俺も?」
「え?」
今、語尾が上がったよね?疑問形?
「俺も好き?…俺は好きです。梨央さんの事」
い、いきなり歩きながら言って来るとは思わなかった。これ、不意打ち過ぎるでしょ。