恋?…私次第。~好きなのは私なんです~

あまり気合を入れる約束でも無いが、おじさま相手にあまり落ち着きの無い格好でも良くないかと思い、出掛けるギリギリまで悩んだ。
結局、普段通りが一番と、友達と出掛ける格好に落ち着いた。何だったんだ、今までの時間…。

玄関を出て下に降り傘を開いた。そう、今日は雨…。小雨が降っていた。

ブー。あ、…携帯。ちょっと待ってよね…。
踏み出した足を戻し、傘を閉じた。携帯を取り出して見た。…高守さん?

【まだ着いてないですか?というか、まだ部屋を出てないですか?】

ん?まだ、約束の時間には早いけど…。11時で良かったのよね。どうしたのかな、中止?とか?

【はい、まだです。もしかして待たせてしまってますか?それとも中止ですか?】

中止なら言い出し辛いかもと思った。時間はまだ11時にはなってないよね?…え。表示されている時間を確認した。大丈夫。

【いいえ。待たされている訳ではありません。勿論、中止でもないです】

ん゛?では何かしら?

【雨になってしまいました。小雨ですが待ち合わせる場所まで歩いてしまっては濡れてしまいます】

あー、そういう事を気にしてくれたのね。別に…天気の事は仕方ない事だ。

RRRR…。わ!電話。…びっくりした。

「は、い」

「逢坂さん?」

「はい」

妙にドキドキした。よく通る低い声だ。

「迎えに行きます」

…え?

「あの…?」

「ご自宅までとは言いません。あまり歩かないで済む距離で、私が近づいてもいい距離まで。どこか、駅とか、最寄りのお店の軒下とか、安全に居られる目ぼしい場所まで行きますから。都合のいい場所を指定してください」

「あ、…急に言われると。あの…車って事ですよね?」

「はい、勿論」

そうか…。あ、どうしよう。近くで解かりやすい場所…。どこかあったかな。早くしないと…待ってくださいね…んー、あ。財布を取り出し、診察券を探した。
あった。

「逢坂さん?もしもし?」

あ、何も言わないでゴソゴソしてた。

「すみません、では、〇〇眼科にします。住所言います、いいですか?✕✕、〇丁目〇〇の〇〇。解りますか?」

「はい、大丈夫。今、ナビを見てますから。そんなに遠くない。私が先に着いたら待ってますから。黒い車を探してもらえますか?」

「はい、解りました。家からとても近いので直ぐ着くと思います」

「…ゆっくりでいいですよ?それから、駄目ですよ?家からとても近いなんて、軽々しく言っては。家まで行かない意味がなくなるでしょ?」

あ、そうだった。何だかとても気遣いされてる気がする。私が警戒してると、そんな風に思わせてるのかなぁ。親しくない、知らない男性だから、部屋を知る訳にはいかないと思ってくれての事かな。

「逢坂さん?」

あ、いけない。

「はい?えっと、解りました」

「ん?」

あ、何、話してたんだっけ。

「じゃあ、後で」

「はい、解りました」

…はぁ。何だか…緊張したぁ。

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