恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
「母親だったら、無理になった。どうしてですか?もう、親父とは何の関係もないですよ?」
「関係なくても、終わった事だと言われても、多分、敵わないと思ったの。あんな綺麗な人を好きになる人だから…」
現実で比べられたくなかった。私では…物足りなくなるのでは。と、不安に思ってしまう。
「ん?だから駄目になったんじゃないですか…。性格をよく理解し合えてなかったから。自分の親ですから、一緒に居てくれた方が良かったですよ?でも、上手くいかなくなった時って、どうしてこんなに?って思う程、相手が鬱陶しくて、腹の立つ対象になってしまうんだ、って、言ってました。…どっちも。
元々が友達として長くて、成立していたんだそうです。…ドキドキの好きとは違ったって、母親は言ってました。…今の旦那さんには、ドキドキしたらしいです。…それって駄目でしょ。そんな事、俺に言わなくても、って話ですよね。…ずっと好きらしいです。何が違うんでしょうかね。
親父とつき合ってるから、何か…思うように言い出せない、なんて事があるなら、それは違うと思います。もし…、俺の事が親父よりも気になるなら、そう親父に言った方がいいです。これは…今は願望ですけどね?
親父の事が好きなら好きで、いいと思います。…心の向くままで。
俺は好きです…。梨央さんの事、簡単には諦めませんよ」
「俊佑君…」
「好きでいなくちゃいけないなんて思ったら、それはもう好きとは違いますから。それは義務です」
義務…どこかで聞いた気がする…。
「好きだけど、解ってるけど、俺だって、一度冷静になりました。出会いが出会いだったから、インパクトが強いんです。ちょっと違うかも知れないけど、吊り橋効果に近いモノかも知れないって。
本当に好きなのか、自分の心を探りました。…はぁ、結果、やっぱり間違いなく好きだと思いました。偶然会ってしまう事も、変に運命付けて考えたくなかったし。そこも冷静に。
慎重だったのは、身近に例があったからかも知れないです。失敗のね。それに、まだバタついていますが、会社を起こす時だったら、好きでも無理だったかも知れません。
そう思ったら、何もかも、タイミングが良かったのかも知れない。ただ一つ…、バッドタイミングだったのは親父との出会いが先だったって事。
親父に先に会っていなければ、ですよね」
…。
「…そろそろ出ようか?」
「あ…はい。…そうですね、出ましょう。食べましたか?」
「うん。心置きなくデザートまで」
「フ。それは良かったです」