恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
いつものように送りますと言われてではない。店を出て、うちの方へ歩いていた。
「親父とはあまり話はしないんですか?あ、まあ、最近の事は知りませんが」
「何となく、話してる。…ちょっと、近くなった気がしてるの…」
「そうなんだ」
…。
「もう、いいんじゃないかって、…その時…決めたの。でも、はぁ、駄目だった。結局…未遂で終わっちゃった」
「あ…何の…話?…」
「男女の…深い仲にならなかった話。…逆ね。タイミングが良くなかったの」
「それ…親父が、なんて言うか、その…駄目だったって、そっちの話?」
「あ、違う違う、そうじゃなくてね。私が、…出来ない日になっちゃったの」
「…ぁ、あぁ」
「そう、…それ」
…。
「ごめん、何だか。今までとは違うのに。つい…。貴方と居ると何でも話しちゃう。話し易いのかな…」
…。
「…俺、25です」
「知ってる。25の息子さんが居るって聞いてた。高守さんバツイチだって事も」
それが貴方だったとは知らなかったけど。…鈍いのかな。
「俺と梨央さんはいくつ違うんですか?」
「…七つ、かな」
「じゃあ、親父とは15違うんだ…。オヤジって思いました?」
「ううん、年齢よりずっと若いって印象だった。イケオジって思ったのよね…」
「イケオジね…。現実、七つ下の男と、15上の男…。どっちも全然梨央さんにぴったり来ませんね。丁度いいのは、やっぱり中間ですかね。…36くらい。うん、そのくらいが丁度いいですね」
「年下は全然、考えたことがなかった」
「…そうですか」
…あ、いや、はっきり言い過ぎた?
「こんな風に下の子と話す事なんてなかったから。
はっきり年齢は聞かなくても、かなり下だろうとは思ってた。でも、まるで…頼るみたいに、いつも話を聞いてもらってた。
だから年齢で人を判断しては駄目なのかもって。
俊佑君が、世間の年下より大人なのかな。あ、よく解らない言い方になっちゃった。これって、あ」
「言葉は気をつけて発してくださいって言いましたよ?…勘違い、させるって言ったでしょ?嫌われてないなら俺は攻めるって…。そんなタイプだって言ってますよ?」
抱しめられた。
「凄く…ドキドキしてる。…なぜですか?……年下は…ないんでしょ?」