恋？…私次第。～好きなのは私なんです～

ち、違う、そんなつもりではなかった。高守さんの知らないところでコソコソしようなんて思って無い。でも、…ぁ、受け取る方の、気持ち次第って事になるんだ。

【俊佑君と一緒だった事、高守さんに言っておかないとって、思ったからです】

【それは、私達がつき合っているって事になってるからだよね。やっと返信をくれたね。返さずにはいられなくなる事を私が送ったからだよね】

伝えたのは…形式からだって事では無い。それは、解って欲しい。

【虚しい…と思ったら虚しい。アイツが好きだと言ってるなら親だから私が引くべきなのかなって。まさか、息子が同じ人を好きになるなんて、思いもしなかった。私との出会いも中々のモノだと思うけど、それよりもアイツとは…運命的なモノがあるのかも知れないね】

【私、そんな事は考えもしなかったって言いましたよ？】

…。

【そうだったね】

…。

【いいんですか？】

これ…解り辛いかな。

…もしかして。
極力足音を立てないようにして玄関のドアに近づいた。

あ、鍵、また掛けていなかった。でもそれが功を奏した。ノブを掴み、即、回せた。一気に開けた。

ドン。

鈍い音がした。何かに当たった。それは間違いない。姿は無い。でも…ドアの下から靴が少し覗いていた。

「高守さん!」

「…イタタ。…参ったな、読まれてたか。まさかいきなり開けるとは。おでこと膝を打ったよ…」

「高守さん!」

おでこに手を当て擦りながら姿を見せた高守さんに飛びつくように抱き着いた。

「お゛!梨央…？」

狡いから高守さんの胸に顔をつけたまま話した。

「ごめんなさい、痛かったですか？大丈夫？…私、自分に自信が無かったから、奥さんの事、元だって聞いても妬きました。今だって自信はありません。客観的に…俊佑君と居て、俊佑君の思い方に、羨ましいと思いました。沢山ドキドキしたいって。私、中途半端なんです。高守さんは大人だから、穏やかに…そういう思い方がいいのかなとか、だから、私ばかりがドキドキするのは釣り合わないのかなとか。私…。本当、中途半端なんです。私は私の思い方でいいはずなのに。
…好きです。高守さんの事が好きなんです。これから、もっと、高守さんにドキドキさせてもらいたい。大人なドキドキも、…もらいたいんです、沢山…沢山、知りたい…」

…もっと触れたいと思った。自分から背伸びをして高守さんに口づけた。

「梨央…ん゛……梨央…」