恋?…私次第。~好きなのは私なんです~
ブー。お!梨央さんだ。
【報告したい事があります。メールがいい?電話にする?それとも会う?】
【会います。いつ?どこで?何時に?】
【カフェで待ってるから。仕事が終わったら来れる?】
【もう待ってるんでしょ?】
何故、解るの?
【報告したい事って言われたら、会うって言うと思ってたでしょ?】
…うん。
【今から出ます。待っててください】
【いいの?】
【いいから言ってます。そうでしょ?】
【そうでした。はい、解りました】
【これが最初で最後のメール?】
え…?
「あ、梨央さん」
来た…。
「報告ってなんですか?」
「う、ん」
もう、早速…。いつものように、話し易いようにはしてくれないのね。当り前よね。
カップを手にいつものように椅子を大きく引くと、正面に腰掛けた。
「お父さんにちゃんと好きって言ったから。だからその報告なの」
…。それだけと言えばそれだけ。話は終わりだ。
「あぁあ、やっぱり駄目だったか…」
「え?」
「ふぅ…結果は解っていたようなものです。横槍を入れたのは俺だから。でも、俺だって、そのまま燻っていたら立ち止まってしまう。だから、気持ちは後悔の無いように伝えたかった」
俊佑君…。
「あ、はあぁ…居た。もう…俊佑…」
「恭子…。どうした」
誰?凄い息を切らしてる。
「バイトの子が…急に体調が悪くなっちゃって。直ぐ戻れる?あ、ごめんなさい。え、お姉さん?」
あ、……。お姉さん、そう言うよね。
「え、俊佑にお姉さん、居たっけ?…え?」
まだそんなに言いますか…。
「お姉さんじゃないよ。この人は親父の彼女。まあ、俺の母親になるかも?って人だよ。ね?」
あ、俊佑君…。この場はどうしよう。曖昧に頷いて見せた。
「え?お母さん?」
恭子ちゃんという女性、顔のこわばりがパァッと晴れたのが解った。
「直ぐ帰るから、先に戻っててくれ」
「え、うん、解った。…直ぐよ?」
安心と、まだちょっと不安って顔で戻って行った。
「解ってる。…ふぅ」
「俊佑君…」
「ああ、あいつ、大学からの腐れ縁で、俺が仕事を始めるって言ったら、勤め先辞めて手伝うって煩くて、それで」
「…そう。いい関係性ね」
気づいてるでしょ?
急用なら電話で呼び出せばいいのに。わざわざ追いかけるようにして来たのよね。…そして。
私を見て…お姉さん、と問いかけた。それは…言わずと知れた年齢アピールよね…。わざとよね?
私と俊佑君では姉弟にしか見えないって…。釣り合わないって言いたかったんでしょ?
俊佑君の口から親父の彼女、母親と聞けて、さぞや心の中でほくそ笑んで居ただろう。