恋?…私次第。~好きなのは私なんです~

「ねえ、ちょっと、梨央~」

「何~?源ちゃん」

「今日もコンビニ行く?」

「行くけど?」

「…だったらさぁ」

「…何?」

「これ、買って来て欲しいのよねぇ」

…。メモね。二つ折りにされたメモを渡された。

「ねえ、源ちゃん」

「ん?」

「今時の男子は、スイーツ男子っていう人も居るじゃん。だから、別に恥ずかしい事でも無いよ?私は別に買ってくる事は何でも無いけど」

「そうなんだけど…」

「だけど?」

「だけど、梨央に頼みたいの」

…意味が解らない。長いつき合いだけど、不思議ちゃんなのよねぇ。この、何とも言えない柔らかさはみんなの前でも同じだけど、女言葉になるのは私と居る時だけなのよね。それに、時々、男らしくなるし…。ま、ギャップがありすぎて飽きないけど。

「いいよ?買って来るから」

「あ~ん、梨央有り難う」

「あ、ちょっと」

こんな風に何の苦も無く自然に抱き着くし…。

「それはそうと、上手く行ってるの?」

「ん、ん、ボチボチでんな」

「ハハ、何、急に俄か関西人~。…ダーリン、ボチボチ、なの?」

…。

「源ちゃん…今の…下の話じゃないからね?」

「嫌だ梨央、真昼間っから、エッチなんだから~。そんなんじゃないわよ」

…。いや、今のは絶対、アッチのつもりで言ってた。

「これだけでいいのね?」

複数文字が書かれていた。

「そう、よ、ろ、し、く、ね」

…お゛お゛、何よ、今の…色気?ダダ漏れじゃない…。どれどれ…また新発売の物かな、何気に文字を見た。えー何々…え?…え゛ー!!

「ちょっと!源ちゃん?濃密…レアチーズケーキ。これは良かろう。この…オ〇モ〇…ゼ〇ツ〇EX、ひと箱って…」

私に、これを?昼間のサラリーマンがごった返している中を掻き分けて。これを買って来いだと?

「源ちゃん…いくら何でもこれはキツイよ」

「んーじゃあ、ゼロワンでもいいわよ?遠慮せず、ど~んと各種見繕っても」

いやいや、そういう事では無い話よ。解って言ってるでしょ?

「…どうしたの?…源ちゃん、差し迫ってるの?」

…何を聞いてるんでしょうねぇ、私は。ここは会社なんだから、急を要するなんてないでしょ。

「急に必要になるかも知れないじゃない?…会社で。二人で残業になる事だってあるんだし?」

「はあ?」

「…梨央」

「な、な、に…」

「男と女なんだ。いつ、ナニがどうなるか、解らないだろ?」

…。

「と、と、とにかく、こっちは買って来ないから。自分で行ってよね。じゃあ、行って来る」

慌てて財布を掴んで駈け出した。

「残念~。行ってらっしゃ~い。
ふぅ…そろそろ私の気持ちにも気づいてくれても良さそうなものなのに。最近艶っぽくなった割には…本当…アンテナは全然立って無いわねぇ」
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