時を超えた王女と戦国武将達 前編
怖かったけど根は優しい人でよかった...。

彼は頭をかきながら私の進む反対の方向へ去ってしまった。

「渚月ーっ!渚月ーっ!どこにいるのーっ?」

気づけば私は林の方へと足を運んでいた。
奥からリン...と鈴の音がした。
音のした方向へ行くと...。

「女子がひとりで来るとは...。どうされた?」

「い、いえ...。」

お坊さん...かな...?

「私は顕如。旅の僧だ。困ったことがあるなら相談に乗ろう。」

「お気持ちだけで十分です。」

彼は顔に斬られたような大きな傷があった。

「ここは若いお嬢さんが来るところではない。早く家へ帰るといい。」
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