甘い匂いに立ちつくす
シャンプー、か?


 机に突っ伏すようにした詩織に、大変だなと思う。


 保健室を部室にしてきるボランティア部は部長が不在ということがよくある。なら副部長は?と考えて、色々と思い出してやめた。

 現在三年生は部長と副部長の他にもいるが、ほぼ幽霊部員。まともに出ているのは部員の中でも数人くらいだった。
 しかも俺は掛け持ちである。部員の少ない剣道部である俺は、時間のあるときにしか顔を出せない。



「おーい、生きてるか」

「生きてるって。死にそうだけど」

「ほかは?」


 
 人の姿がまったくない。
 机に突っ伏した詩織に聞くと、彼女は大きくため息をつく。




「まずは三年で今度の課外授業についてとか、ほら、花壇の水やり当番とか決めないとってなってたはずなんだけど」

「部長はいつもの通り帰りましたー、ってか?え、まじ?」

「まじですよまじ」




 保健室には集まるはずの部長や副部長の姿はない。いるのは死んだような顔をした詩織と俺だけ。

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