甘い匂いに立ちつくす


 何故部長がいないのか。

 理由は簡単だ。携帯料金を自分で払っているからだとかなんとかいって、部長はバイトをしているのだ。時間があればいるものの、必要なときに限っていない。
 
副部長は何のためにやっているのか、部長にべったりで、単独で何かをするだなんていうのは殆どない。そのくせ部長と副部長は余計なところで口を挟むことだけは上手い。


 三年生は俺を含めて数人しかいないので、どうしても詩織が動くことになってしまう。


 そりゃそうだろう。


 部長も副部長もただの肩書きだし、何もしてくれないなら何とかするしかない、と思っているのだ。だから、先生も詩織を頼る。


 通っていた小学校は違うものの、俺のじいちゃんの家は詩織の住む町にある。しかも近所だ。だから休みになるとよく見かけたし、話したこともある。そうして今にいたるのだが、腐れ縁もしかいいようがない関係だ。

 勉強があまりできない馬鹿な俺を毎回助けてくれる。まあ、いじりながらてはあるが。
 うるさい女子の中で、一番付き合いやすい相手だった。



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