真昼のブルームーン
彼はウチの中学の転校生だった。
何と無くあの日あそこにいた事が腑に落ちる。

(転校先の学校の見学にでも来てたのかな…)

あの日から私の中で何かがくすぶっている。
彼への期待か、変化への不安か。
どちらにせよ、彼はきっと何か変化を起こす。
確信があった。

『俺、生徒会長になるから』

転校初日に、自己紹介で言っていた。
その発言に誰もが注目した。
それは私も例外では無く。

『俺は病気で海外に行ってた。ずっと入院してて、学生生活をまともに送ったのは1年だけ。
だから、中学最後はやれる事全部やりたい。どうせ適当に票を入れるなら、俺に入れて欲しい。
絶対に楽しませるから』

この発言は瞬く間に広がり、学年では有名人になった。

(何で私と生徒会がしたいの?)

解せん。
初対面で、こんなにも周りを惹きつける人がなぜ私を選ぶのか。

「…どうせ、遊び半分か」

そう自己完結し、今日も何をするでも無く窓の外を眺めた。
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