【BL】お前を抱きたい



通話の終わり際に、中谷さんは少しため息混じりに言った。

この詞は前にも聞いた覚えがある。



「…はい。大好きです。…もう、誰にも渡したくないくらいに。…勿論中谷さんにも渡しませんからね?」


「ハハハ、冗談を。…やはり高宮は可愛い部下を持ったようだね。…嫌になったらいつでもこっちにおいで。キミのような出来る部下を貰いたいと考えてるんだ」



中谷さんはそう言い「じゃあ」と言って電話を切ってしまった。


中谷さんとの通話が終わった後、俺は上着を羽織り、カバン―って言っても余り大事な物は入ってないんだけど
を持って、急いで外に出た。

先ずは連絡が先だ。

俺は寒空の下、悴む手を吐息で温めながら、上着のポケットから携帯を取り出し、先程聞いたばかりの高宮さんの電話番号に電話を掛けた。



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