【BL】お前を抱きたい
課長はそう言うと、忙しそうに部屋を出ていった。
「……っ」
"高宮"さんと呼ばれた人の方を見ると、彼も俺を見ていた為か、目があった。
「これから宜しくお願いします」
俺は急いで頭を下げた。
「…あぁ」
彼は短い返事をした後、俺に背を向けた。
"高宮"さん―。
彼の話は入社する前から聞いた事がある。
何しろ成績優秀で、バリバリ仕事が出来る上に、爽やか系イケメンだ、と。
社内の女性は皆、高宮さんの事を憧れや恋愛対象として好きだと騒いでいる。
…俺なんかに高宮さんの相棒が勤まるかな…
俺の頭の中は、その事だけがずっと駆け巡っていた。