【BL】お前を抱きたい
彼の艶のある声を聞き、俺は一気に身体が熱くなった。
「…と、とにかく俺が払いますから…。家、ここでしたよね?…えっと、じゃあ、お疲れ様でした。おやすみなさい」
俺は緊張のせいか、少し早口で別れの挨拶をし、彼の背中を押した。
「えっ、ちょっ…」
彼はタクシーから下りたものの、まだ何か言いたそうに此方を見てきた。
俺は今彼と目を合わせたら、恥ずかしさのあまり倒れちゃいそうだったので、彼から目を逸らし、タクシーのドアを閉めた。
そして、
「釜灯町までお願いします」
自宅のある場所までの運転を頼んだ。
――その時
…バンッ!!
「っ!?」
急にタクシーのドアが開き、必死そうな顔の高宮さんが現れた。