【BL】お前を抱きたい



前もタクシーのドライバーに狭川町まで行きたいと頼んだことがある。





確かあの時は、酔った高宮さんが一緒で………





なんて考えていると、



「お客さん、狭川町、着きました」



タクシーは『狭川町』と書いてある標識の近くで停まった。



「…あっ、有り難うございます」



俺は直ぐに代金を払い、急いでタクシーから出て、高宮さん宅まで走った。



――ピンポーン



チャイム音が鳴って、暫くしてから、



「開いてる」



高宮さんの短い返事が返ってきた。



「失礼します」



俺は静かにドアを開けた。



「………?」



部屋の中は電気が付いておらず、真っ暗だった。



「………高宮…さん?」



心配になり、俺は手探りで電気のスイッチの場所を探った。


スイッチを見つけ、付けてみると――



「…………っ!?」


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