【BL】お前を抱きたい
俺がそう答えると、彼は「待ってました!」と言わんばかりに笑顔になり、一度周りを見渡して近くに人影が無い事を確認した後に、
「毎日俺の家に通うのは苦痛だろ。…これを期に同居しないか?」
夢ではないかと思う程、耳を疑うような事を言ってきた。
俺は少し戸惑った後、
「高宮さんが良いと言うのであれば、是非!」
と、微笑みながら言った。
嬉しかった。
本当に嬉しかった。
高宮さんと同居するなんて、夢のまた夢だと思っていた。
それなのに今、長年の夢が叶おうとしているのだ。
「今週末には荷物、全部運んでこい」
高宮さんはそう言うと、「じゃあ」と短い挨拶をして、仕事場へと戻って行った。
――夢なのだろうか。
もし、今の出来事が夢ならば、どうかこの夢が覚めないでいてくれる事を願う―