ニセカレ
「で、でも、こんな高級なの買えないよ…」
篠山くんのセンスはすごくいい。
だからこそ、参考にだけさせてもらおうと思っていたら
「すいません、この服ください。」
と近くにいた定員さんを呼んで話し始めていた。
「え、ええっともしかして紘稀様ですか?
いつもありがとうございます。」
となぜかペコペコし始めた定員さん。
その様子を不思議に思いつつも私は彼を止めることにする。
「し、篠山くん、こんな高級ないい服私には似合わないから。
別のところへ行くよ。」
とこそっと言って引っ張り出そうとすると
「いいよ、これは俺からのプレゼントってことで受け取ってよ。」
「いや、でも。」
「坂下、俺に恥をかかせたいのか?」
とぎろっと鋭い視線を向ける篠山くんに何も逆らえず購入してもらうことにする。