私達の狂った歯車
薙切はこの世の宝。
それは誰もが知っている事だ。

薙切無しでは、私達は今頃生きて来れていない。
薙切はこの世の宝なのだから。

誰も薙切には逆らえない。
誰でも逆らえない。
それは私も含めた、この世の全ての人が逆らえない。
もし逆らったら?
それは人類、世界、宇宙、いや、この世の全てが滅ぶ。
だから誰も逆らわない。
誰も逆らえない。

だが千年前に一度だけ、誰かが逆らった。

その時はこの世の全てが滅びかけた。
誰もがこの世は終わりだと思った。
けど、………のおかげで、いつも薙切の隣にいる守神の理性が保たれ、危機一発でこの世は救われた。

なぜ私にそんな、千年前の記憶があるのかは、分からない。
だけどきっと、薙切の守神がこの記憶を、私の記憶に入れたのだろう。
そしてそれと共に、私の脳に何かを埋め込んだ。

こんな事があるから、だから誰も逆らわない。
逆らおうともしない。
誰も、誰でも。

たとえ、薙切の親でも。

たとえ………でも。
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