私達の狂った歯車
姫莉の事を、ただの友達だと思っている依恋。
依恋の事を、唯一分かり合える親友だと思っている姫莉。
二人の想いはすれ違い、平行で交差する事が無い。

俺は笑顔を作り、依恋と姫莉の前に出た。
「え、希!?」
驚く姫莉。
その顔は如何すればいいか分からず、今にも泣きそうだった。
依恋は、赤のメッシュが入った艶やかな黒髪を揺らしながら、不敵に微笑んでいた。
それは天使のような笑顔なのだろうか。
普通はそう見えるだろう。
たが、全てを知っている俺には、悪魔が人を見下ろし、嘲笑うようにしか見えない。

今思えばこの時から、俺達の歯車は狂い始めていたのかもしれない。
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