私達の狂った歯車
★姫莉side★

うちは叶夜のおる図書館へ行った。
「叶夜!」
うちの声でゆっくりと叶夜が振り返る。
「何」
「え、えっと・・・」
どうしよう!
頭が真っ白や!
今更緊張して来てまった。

「うちと付き合って欲しいんやけど!!」

すると、表情を変えずに叶夜が一歩、そして一歩と近付いて来る。
そして微笑えむ。
つられてうちも笑ってまう。
やった、両想いや!

「何で?」
「・・・え?」
叶夜の言葉が意味分からない。
「ねえ、答えてよ。」
叶夜の真っ直ぐな茶色の瞳が、メガネ越しにうちを見つめる。
「な、何でって・・・。好き、やからやん?」
「図々しい。俺、アンタとなんか付き合わない」
・・・え?
「・・・どうして?」
「アッハハハ!どうして?そんなの決まってるじゃん!!アンタの事が嫌いだから」

他人の様にアンタと呼ばれる。
ねぇ、名前で呼んで。
姫莉って呼んで。
さっきまで両想いだと思い込んでた自分が、恥ずかしい・・・。

「アンタはさ、思ったことないの?S・Aのみんなと自分が不釣り合いなこと、アンタはどうしてS・Aでいられるか」
叶夜はメガネを外し、一枚の紙を取り出した。
「アンタの過去、調べさせてもらったよ。」
ドキッとした。

だって、うちの過去は・・・。
この学園の人に知られてはいけない。
それはまさに、命をかけてでも守らなければない・・・。

そんな過去やから。
< 29 / 61 >

この作品をシェア

pagetop