私達の狂った歯車

★姫莉side★

「今は･･･どうしとんの？その人。」
その時叶夜は、少し悲しそうな表情を浮かばせた。
「あの人は･･･。マリアは死んだ。」
それは凄く元気のない声やった。
“死んだ”その言葉がうちの中でリピートする。
「マリアは中等部の卒業式の日に事故に会って、死んだ。」

何でやろ。
ドキッとしたのは･･･。

「俺らはマリアがその日、そこは行く事を知っていた。もし、俺が止めていたら･･･｡マリアは今も生きていた。･･･マリアは、俺のせいで死んだ。」
「違う！叶夜のせいやない！」
自分でも分からなかったが、何時の間にか、うちはそう叫んどった。
「へえ？それじゃあ誰のせい？」

初めて見た｡
叶夜の敵を見る様な目｡
恐ろしく強くて、冷たい目･･･｡

「だっ、誰って、トラックを運転してた人に決まってるやん！」
すると、叶夜は
「アッハハハ！！」
狂った様に笑い出した。
「どうして？どうして“トラック”って分かった？」

･･･え？
どうして？どうしてやろ？
どうして、うちは分かったんやろ？

「・・・分かんない。」
それが素直な答えや。
「分からない？なら、教えてあげる？アンタは父親がいない。中3の時に死亡。さて何故？」
分かんない。
叶夜が何を言おうとしたのか分からない。
叶夜が何を言ったのか分からない。

「事故を起こしたからだ。数ヶ月前のマリアが死んだ事故を･･･」
ドクンと心臓が波を打った。
「う、嘘、そんな事･･･」
「その時アンタもあのトラックに乗っていたが、運良く助かった。だけどその代償として、その時の記憶を失った」

うちの記憶の一部がなくなっとる？
どうして今まで気が付かったんやろ･･･？
いや、依恋達が思い出さない様にしてくれていたんや。

「最後に、聞いていい？」
「何を？」

「依恋が嫌がらせをされてる時、叶夜は何でうちを助けてくれたん？うちは何で桜蘭学園のS・Aにおんの？」