私達の狂った歯車
★姫莉side★

ふふっと叶夜がうちの目を見て笑った。
いや、微笑んだ。

「やっぱり気が変わった。」
持っていたうちの『過去』の紙を粉々に破り捨てた。
「・・・え?」
その光景をうちはただただ呆然と見る事しか出来んかった。
「アンタの、姫莉の過去の事は誰にも言わない。」
「本当?」
うちは下から叶夜を見上げる。

「あははは」
叶夜は笑う。爽やかに。
「付き合おう。」
叶夜は左手をうちに差し出す。
土下座をしているうちに。

うちは一瞬、差し出された手を取る事を拒もうとしたが、結局、叶夜の差し出した手を取ってしまった。
叶夜の優しさに甘えてしまったんや。

本当は知っている。
こんな事をしていては駄目や。
自分で何とかしなければいけない事ぐらい分かっとる。
自分で自分の事ぐらい出来るはずやったんや。

頑張ってバイトしてお金を貯めて、やっとこの学園に入れたんや。
< 33 / 61 >

この作品をシェア

pagetop