私達の狂った歯車
『じゃあ、自己紹介するね。』
赤色の彼女は笑う。
いや、微笑んだ。

『私は薙切依恋。今中3で、今日卒業式。4月からは桜蘭学園高等部第1学年。同い年だから、仲良くしようね』
言い終えると赤色の彼女は、はにかんだ様な笑顔になった。
『佐田叶夜、同い年』
黒色の彼は表情を変えず、完結な自己紹介だ。
『風林希。よろしく、後でLINE教えてね』
緑色の彼の笑顔は少しチャライ。
『胡桃沢麗王だよ。これからよろしくね!』
水色の彼は語尾にウィンクでもしそうな、可愛い、甘い笑顔になった。
『西蓮寺宙』
青色の彼は相変わらず、素っ気無い。

『うん。依恋ちゃん、叶夜くん、希くん、麗王くん、宙くんやね』

うちは1人1人の顔を見て名前を確認した。
『違う』
『え?』
黒色の彼の言葉に驚いた。
またやらかしてまった?

『えっと、出来れば呼び捨てにして・・・』
赤色の彼女は指先を顔の下に合わせて、申し訳なさそうに、上目遣いでうちを見る。
『うん、分かった』
うちは笑う。
『じゃあ、姫莉。明日から桜蘭学園の下見にでも行こっか。』
『え、下見?』
依恋の言葉を聞き返す。
『うん。新しい生活だよ。』

それから依恋は、沢山の事を教えてくれた。
学園の地図をくれて、1つ1つの場所を案内してくれた。
家も高級そうな大きなマンションの、7階をフロアーごとだった。
家政婦もいた。
『こんな大きな部屋、申し訳無いよ!寝る事さえ出来れば、うちはいいよ!何畳かでいいんやお!?』
焦って、依恋に言ったら
『畳って何?此処より狭かったらもう犬小屋だよ?』
と、言われた。

ああ。
住む世界が違うんだ。
改めて、そう思った。
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