私達の狂った歯車
そして1週間後、彼らはやっと、温室に顔を出した。

『あ、やっと来た!』
だけど、彼らは困った顔をするだけやった。
ただ一人を除いて。
依恋や。
依恋だけは、うちの事を無表情で見てくる。

うちは温室の階段を下り、依恋に駆け寄る。
やけど、依恋は宙の後ろに隠れて、宙に抱き付く。
宙を盾にでもする様にして、下からうちを睨み付ける。

『・・・誰?』
それが依恋の発した第一声やった。
『え?うちの事覚えとらんの!?』
『・・・知らない』
『姫莉、麻生姫莉やお!?』
『・・・知らない』
その時うちは、うちの全てを否定されたみたいに、心が痛んだ。

『依恋、新しい友達』
叶夜が依恋に合わせて少ししゃがみ、依恋の頭を撫でながら、そう言う。
『友達?女の?』
『そう、依恋の新しい…………』
叶夜が依恋に耳打ちしたその瞬間、依恋は満面の笑顔になった。

『そっか、仲良くしようね。姫莉。』

でも、うちは知らない。
どうして、あの時彼らがみんな泣いとったんか。
どうして、彼らが学園の入学式に来んかったんか。
どうして、彼らが学園に来るまでに1週間かかったんか。
どうして、依恋はうちの事を覚えとらへんかったんか。

どうして、うちはこの学園に入れたんか。
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