私達の狂った歯車
「ねえ、依恋」
いきなり叶夜に呼ばれ、体が大きく波打つ。
「ん?」
「母さんと父さんが呼んでる」

私達は一旦家に帰って、叶夜の荷物を一緒に整理していた。
母は下で父の部屋の整理をしている。
なぜ人を雇い、頼まない?

「あ、うん。待って、一緒に行く」
「ん」
私は叶夜と並んで階段を入り、応接間に入った。
私達は椅子に座って、向い側にすわる父と母の二人を見た。

「どうした?」
叶夜が私の隣でそう言った。
私は叶夜の横顔を見つめた。
よく見たら凄くイケメンだ。
「重大発表です!!」
母がいきなり大きな声を出し立ち上がった。
「これから私、青大君と新婚旅行に行って来るわ!」
「「はあ?」」
私と叶夜は見事にハモり、父はふはっと笑った。
「てことで、行ってきまーす。青大君、早く行きましょ!」

母に引っ張られる父を、私達は呆然と見ているしかできなかった。
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