私達の狂った歯車
★依恋side★

咲が部屋のカーテンを開け、降り注ぐ朝日で目が覚める。
「ん~~。おはよ、咲」
大きく伸びをして咲に挨拶をする。
「はい。おはようございます」
咲は微笑み、紅茶を手渡してくれる。
「まだ熱いので」
咲がそう注意するが、既に遅い。
「あちっ」
私は紅茶を口にし、言葉を漏らす。

「ですから今言おうと・・・」
「言うのが遅い」
私はそう言って怒る振りをする。
「申し訳ございません」
咲は口元を綻ばせた。

「今回に睡眠時間は17時29分から6時30分までの11時間39分でした。17時29分に温室にて倒れ、今に至ります。原因はいつもの発作です。至って普通の睡眠ですね」
咲が淡々と私が倒れてからの事を話す。


「そう・・・。良かった」
「それと、こちらの手紙。どう致しましょう?」
咲は私に真っ白な封筒を見せる。
「誰から?」
「それが、宛先である依恋様以外の名前が書かれていないんですよ。」
手紙をひらつかせ、不思議そうに見る咲。
「ちょうだい」
空になったカップを返し、手紙を貰う。

「朝食の準備はもう出来ておりますので、着替えてからいらして下さい。」
咲は一礼して、部屋から出て行く。

一人になり、真っ白な封筒を開ける。
便箋も真っ白だ。
真っ白な便箋に書かれているのは、たったの一言だけ。

“会いに行く”
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