私達の狂った歯車

いつもの様に姫莉の迎えを待ち、一緒に学園へ行く。
だが、今日は何故か姫莉と共に希もいた。

「依恋、おはよ～」
「よっ！」
「いや、何でいるの？」
車へ乗りながら苦笑いで聞く。
「依恋の笑顔が見たくて？」
「・・・あー、はいはい」
適当に流すと、いきなり希が立ち上がった。
勿論、今は車内なので頭をぶつける。
「痛っ！」
その姿を見て、姫莉と二人で笑う。

「突然ですが！日々、この日常につまらなさを感じ始めている方！依恋、お前だ！！」
「え、私？」
急に名前を呼ばれ、ビックリして聞き返す。
「おん。そんな依恋に、これから楽しく過ごして貰おうと思って、サプライズを用意したんだ！」
丁度このタイミングを見計らったかの様に、桜蘭学園の温室の前に車が止まる。

「本当？何？」
車から降りながら聞く。
「実はだな、今日、2人転入して来るんだわ。」
希は車から降り、温室の扉を指差し、そう言った。
「え！？このクラスに？」

このS・Aクラスに入るには、莫大な寄付金は勿論の事、家柄、肩書きが重視される。
この学園では、お金が凄く大切だから。
この桜蘭学園は、テストの点数でさえ、お金で買う事が出来る。
1点100万。
有り得ない事だ。
普通の学校では、こんな事一切無いだろう。

勿論、買えない人だって中にはいる。
そういう人は、勉強する以外に点数を手に入れる術は無い。
でも言ってしまえば、勉強すれば良いのだ。
勉強さえすれば、一銭も払わずに点数を取れる。
だが、そう言う人はごく稀だ。
勉強がしたいのなら、桜花学園に行けば良い。
そう言う考えなのだろう。

転入して来る人は点数が全校で10位以内で無いといけない。
一体どんな子なのだろうと、胸を踊らせる。
「おう。驚くぞ、二人の顔見たら」
希は扉を押し開ける。

転入生の二人は、椅子に座って優雅に紅茶を飲んでいた。
私は、その姿には見覚えがあった。
「羅音と孤廻？」
私達の姿に気が付き、二人は階段を降りてくる。

「依恋、久し振り。」
羅音が微笑む。
「元気そうで良かったよ。身体の方は大丈夫？」
孤廻は上目遣いで私を見る。
「久し振り。何年ぶりかな？身体の方はまあまあかな。」

私は2人に笑い返す。